stsk

□優しい温もり
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二人と別れた後、買い物を再開した。買い出しを終えた私たちは帰路へ。

「夜久〜!」
すると今度は部活仲間の犬飼君と白鳥君に会った。

「よ、相変わらずお熱いことで」
私と錫也を見て犬飼君が言う。
「も〜、からかわないでよ」
「へーへい。はは、お前、照れてんのか?顔赤いぞ〜」

「犬飼君、月子をあまりからかわないでやってくれるかな?」

錫也が笑顔で言うと、犬飼君はわざとらしく白鳥君に話を降った。
犬飼君が何かに怯えていた気がするのはなんでだろう……?

「白鳥、こいつらの邪魔するのもなんだし、そろそろ行かねーか?」

「そ、そうだな」

そうして2人は、私が声をかける隙さえなく去っていった。




家に帰り、2人で夕方までの間ゆっくりと過ごした私たちは夕飯を食べ終えベランダにいる。空には綺麗な満月が浮かび、夜空を照らしていた。

「月ってこんなに大きいものなんだね」
「ああ、そうだな。気づくとそこにあるけど、その存在の大きさは知らない」
「まるで、錫也みたいだね」
「どうして?」
「錫也は私の隣にずっと居てくれて、見守ってくれて甘えさせてくれる。それが当たり前で、あの頃は気づけなかった」
あの頃――錫也に告白され戸惑って、優しい錫也を傷つけて変化を怖がっていた頃。
「私が迷ったりつまずいたりすると、いつも錫也が手を差し伸べてくれたから」
「月子…。これからも俺はお前の傍でお前を支えるよ。幼なじみじゃなくって恋人として」

「うん。私も錫也を支える。私じゃ頼りないかもだけど、錫也が好きな気持ちは誰にも負けないもん」

「そんな可愛いこと言うとぎゅーとして手放せなくなるだろ?」


錫也の温もりに包まれながら心地いいその腕の中に顔を埋める。ずっと、隣にあって何よりも優しい温もりを感じながら私は幸せを感じた。


END
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