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□たった一つの願い事
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月子との同棲を認められてから数ヶ月経った。今日はちょうど、俺と月子の休みが重なり2人で家でゆっくりと過ごしている。
「錫也はいつも私を甘やかしてばっかりだよね」
ソファーに並んで座っている月子が雑誌のページをめくりながら言ってきた。
「そうか?いきなりどうしたんだよ」
月子はさっきまで読んでいた雑誌をテーブルの上に置く。
「ただ、いつも私が錫也に甘えてばっかりだよなぁって思っただけ」
「俺はお前に甘えられて嬉しいよ。だって、月子が俺を頼ってくれる証拠だろ?」
俺の言葉に納得してないみたいなのは月子の表情を見ていればわかる。膨れた顔さえ可愛いって思うし、愛しさが増してくるのをこいつはわかっているのだろうか。
「でも……。私だって錫也に甘えてもらいたい」
ぎゅっと服の袖を掴んで、俺の顔を覗き込んできた。
「月子……。お前、その台詞反則」
(可愛すぎる)
「す、ずや…?」
「だーめ。今はこのまま抱き締められていて」
「うん……」
「俺、月子とこうやって触れあえる距離にいられるのが嬉しいんだ。だから、今日は月子を離さないから」
「錫也…!?」
「お前が言ったんだろう?俺に甘えてほしいって」
「そうだけど……」
「じゃあ、決まりな。ずっと月子の傍にいたい」
それは、俺の一番の願いであり俺にとって一番のワガママだと思う。だって俺は、幼い頃からずっとこいつの隣にいられることを願っていたのだから。
「なあ、月子。これからも一緒に居てくれるか?」
そう問いかけたら「もちろんだよ」って微笑む俺の愛しい彼女。
「私はずっと錫也の隣にいるよ」
「ありがとう」
月子を抱き締める腕に力が入り、距離が縮まる。俺は更に距離を近づけ唇を合わせた。
「絶対にお前を幸せにするから。だから、これからも一緒に居て、お前を守らせてほしい」
「ふふ、なんかプロポーズされてるみたい」
言われてみれば、プロポーズみたいな台詞だ。星月学園を卒業し、大学生になり、隣同士で一人暮しを初めようやく同棲を始めた俺たち。まだ結婚は早いだろう。
「確かにな。でも、そのうちプロポーズする予定だから覚悟しとけよ?」
この後、月子の顔が赤くなったことは言うまでもない。
END