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□星空の下で
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今日は朝から月子と哉太がそわそわしている。それは今日の朝だけではなく、ここ最近からそうだった。理由は聞かなくっても分かってる。俺たち幼なじみの間で小さい頃から互いの誕生日を祝ってきた。
今日は6月30日で明日から7月が始まる。そして、明日は俺の誕生日。あいつらがそわそわしているのは今日で終わる期末テストだけではないと思う。
(月子も哉太も顔に出やすいからなぁ)
テスト終了の合図がなり、2日間のテスト期間に終わりを告げた。
「よっしゃ!これでテストから解放されたぜ」
「もう、そんなこと言って哉太、勉強してたっけ?」
いつも通りの帰り道を3人で並んで歩く。月子を真ん中に挟み、その横に俺と哉太。ずっと変わらないこの形。俺はいつかこの形が壊れるのが怖い。そして、それは確実に近づいてきてるだろう。
「今回は、ちゃんとやっていたよな」
中学3年生という一つの分岐点に立っている俺たちは受験が控えている。さすがの哉太も、今回は真面目に勉強をしていたのを、月子と俺は知っていた。
「そんなけとより、今晩、いつもの場所で天体観測しようぜ!テストも終わったことだしさ」
「賛成!たまには、哉太も良いこと言うね」
哉太の突然の提案に月子がすぐさま食いつく。
「うっせ、たまにってなんだよ。たまにって」
「まあまあ。ここしばらく、テスト勉強に追われていたし、いいんじゃないか?」
「じゃあ、決まりだな!」
夕飯を食べ終え、明日の支度を今日中に済ませておく。あいつらがお腹を空かすだろうと思って、お弁当とお茶を入れた水筒。これらを詰めたハンドバッグを持ち、俺は家を出た。待ち合わせ場所は月子の家の前。って言っても、俺と月子と哉太の家は近い。
玄関を出ると月子がもう家の前で待っていたのがわかった。
「もしかして、待った?」
「ううん。そんなことないよ。さっき出てきたところ」
「本当だな?」
確かめるように聞くと、「もう、錫也は疑い深いんだから」と笑う。
「月子なら久々の天体観測が楽しみです早くから外にいてもおかしくないだろ?」
「天体観測も好きだけど、私は3人で見上げる星空が一番好きなの」
だから、錫也と哉太がいないと意味がないんだよって月子が微笑む。
「俺も月子と哉太と見上げる星空が一番好きだよ」
「俺も好きだぜ」
「哉太」
「わりぃ、待たせたか?」
「そんなことないよ。哉太が来たことだし、行こうか」
「うん」
こうして、俺たちは、星がよく見える秘密の場所へと足を進めた。