stsk

□ある日の放課後
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side月子

「いた…っ」
チクっとまつげが目に入ったらしく痛みが走る。
「どうした?」
隣にいる錫也が心配そうに私の顔を覗き込む。
「まつげが目に入ったみたい」
目を擦ろうとするとその手は錫也の手によって阻止された。
「ほら、俺にみせてみなさい」
錫也の口調とセリフはお母さんみたいだなって思ってしまう。
「錫也、お母さんみたい」
「こーら。それを言わないの。俺は月子の彼氏です」
そんなやり取りをしていると、目に入った睫毛を取るために近づく彼の整った顔や触れる指先にドキドキして、ぎゅっと目を瞑った。
「よし、取れた」
「錫也、ありがとう」
「どういたしまして。あ、ちょっと目閉じて」

(何だろう…?)
言われた通りに目を閉じて待っていると、唇に柔らかい感触。それが何なのか理解すると、だんだんと頬に熱が帯びる。


「錫也…っ!ここ教室…」
照れというよりも、誰かに見られていたらという羞恥が勝り、あたりを見回した。私の慌てた様子を見て錫也は笑う。
「大丈夫、誰もいないよ。それに…月子の可愛い顔を見れるのは俺だけがいいからな」

錫也のその言葉にまた一段と熱が増していった。

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