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□未来で一緒になるために
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『オレと別れてほしい』
夜久を呼び出して告げた言葉。
『どうしてですか?』
涙を堪えながら理由を聞いてきたあいつに「あきたから」そう心にも思ってない言葉を言う。
あきた、なんて嘘で本当はこの手を離したくない。だけど、彼女を守る方法がそれしかなかったから。
できることなら、誰よりも近くであいつの笑顔を見ていたかったし、幸せにしたいって思う。まだ、この腕には、彼女を抱き締めた温もりが残っていて。
(また、この掌から大切なものがこぼれ落ちてしまった)
「……ごめんな」
守れてやれなくって。
傷つけてしまって。
傍にいてやれなくって。
彼女が立ち去った後、ぽつりと呟いた言葉。空を仰ぐとそこには満天の星空。毎日のように二人で見上げていた夜空。なのに、隣には彼女がいない。隣に彼女がいないだけで、その光景は輝きがないようにも思えた。
もしも。いつか、また
この腕の中に抱きしめられる時が来たら、その時は――……
二度と離れることのないように、強く抱きしめて守りたい。
だから、今はこの手を離すよ。
もう一度、分かたれた道が繋がると信じて。
END