オトメイト
□合鍵
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「ねぇ、いつになったら使ってくれるの?」
唐突に聡真くんが問いかけてきた。
何を?なんて聞かなくってもわかる。
聡真くんにバレンタインのプレゼントとして、渡された聡真くんの家の鍵。
いつでも使っていいと言われたけれど、まだ1度も使ったことがなかった。
多分、聡真くんはその事を言っているんだろう。
「だって、聡真くんがいないと寂しいもん」
聡真くんとこの部屋にいることが多いからか、彼がいないと寂しい。そのことを考えると使うのを躊躇う自分がいた。遅くまで待っていても、聡真くんに迷惑かけちゃうのは嫌だし……。
「まったく、君は本当にかわいいね。俺だってこの部屋に和音がいないのは寂しいんだよ?毎日君とずっと一緒にいたいとすら思っているんだから。それに迷惑じゃないから」
「……え?」
「和音、顔に出てたよ。
迷惑なら合鍵なんて渡さないよ。むしろ、俺の帰りを待っていてほしい。なんて言ったら駄目?」
「ううん。駄目じゃないよ」
「良かった。じゃあ、約束ね。でも、無理はしないでいいから」
「わかった」
彼の言葉に頷くと、そっと彼の唇が重なってきた。
「約束ですよ?」
有無を言わせないとばかりの笑顔に、再び頷いた。
END
2015/02/23