オトメイト

□永久の約束
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これは千鶴と平助が雪村の里での暮らしに落ち着き始めた頃だった。


「なぁ、千鶴」
「ん?」
平助の呼びかけに返事を返す。ここまでは普段と変わらない会話のやり取り。

「あ、あのさ……」
「…?」
(どうしたんだろう?)
いつもとは違って歯切れが悪い彼を見て不思議に思いながらも千鶴は平助からの言葉を待つ。やがて平助が言う決心をしたのだろう。ぐっと顔を上げ、強い想いを秘めた瞳と視線がぶつかる。それにドキッと胸が高鳴るのを千鶴は感じた。同時に平助は決心した言葉を言うべく大きく息を吸い、彼女に言った言葉。

「千鶴、オレと結婚してくれ!」

彼から告げられた言葉。
それは彼からの求婚の言葉だった。

「――っ」

思わぬ台詞に嬉しさを隠せない。羅刹の発作がなくなったとしても平助が不安に思うことがある。その一つは、彼が羅刹の力を使い、戦ってきた時間は短い期間とは言いがたいだろう。その間にも、力を使うことによって彼自身の身体を酷使した。それによって、いつその身体が朽ちるかすらわからない。そんな自分が、彼女と正式に籍を入れたとて千鶴を悲しませるだけではないか。そう思いもした。
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