Title

□ゆびきり
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「おいで、オレの花嫁」


ヒノエが望美に手を差し延べる。

彼に差し出された手に躊躇うことなく自分の手を重ね合わす。
その返答は是。

望美は、選んだのだ。
ヒノエの元に残ると。

ただ、そのことが嬉しくって。

ヒノエに腕を引かれ、彼の元へと引き抱き寄せられると
羞恥の為か体温が少し上がるのを望美は感じた。

残念ながら、
望美の表情を抱きしめているため見ることはできないが
恥ずかしがり屋の彼女のこと
きっと、頬を朱に染めているだろう。

(まあ、そんなところがまたかわいいんだけどね)

「ねぇ、望美。ずっとオレの傍にいろよ?」

望美を更に強く抱きしめる。
そして彼女の耳元で囁くかのように言うヒノエ。


「勿論だよ」

そう満面の笑みで答える。

「ふふ、今の言葉 取り消しは効かないぜ?」
―――いいのかい?

コクり、そう首を縦に振る。


―――きっと、未来永劫
ヒノエくんを想うこの気持ちは変わらないよ。
ヒノエくんの傍にいて
あなたと支え合って生きていく決意はもうできているのだから。

だから彼女は躊躇うことなくこの手をとったのだ。
彼の傍にいることを望んだから。

―――じゃあ ゆびきりしようか姫君。

―――ゆびきり?

―――あぁ。オレは必ずお前を世界一幸せな花嫁にすると約束するよ、絶対だ。

だから、望美。オレの傍から離れないと、誓ってよ。

―――もう、さっき約束したじゃない。

―――そんなこと言わずにさ。ほら、望美。

その言葉が合図になり、二人の小指が絡まる。



約束だよ、姫君。

二人で幸せになろう。

絶対にオレを選んだことを後悔させないぜ?

オレの大事な姫君――…



END


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