遙かシリーズ
□叶わぬ夢物語
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望美や九郎たちに見送られながら将臣は海を知盛と共に渡っている。平家は戦に負け滅んだ。それは、将臣が知っている現代の歴史と同じ。この後、九郎たちは頼朝の手から逃げるため平泉に向かうのだろう。そのなかには幼なじみの望美と弟の譲も。平家の運命はもがいても変わることはなかったが、不思議と九郎の運命は変わるだろう。そんな風に思う。
(望美ならやり遂げるだろうしな)
一面に広がる青色の世界を見つめながら過去を振り返る。もしも、あの時、望美に伸ばした手が彼女に届いたのなら。
(俺たちは一緒に居れたのか?)
ずっと彼女の隣で守っていけたのだろうか。望美を、望美の笑顔を。過ぎたことを引きずるのは将臣の柄ではないが考えてしまう。
(ま、今さらこんなこと思っていても仕方ねぇか……)
いくら考えたって平家の未来も彼女との運命も既に決まってしまったのだから。