遙かシリーズ

□告げる想い
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今日、わざわざ花見にへと天真を誘った本来の理由を思いだし彼に声をかけた。告げたい言葉があるから。

京で彼と再開し、暫くしてからあかねは天真に告白された。けれど、その時は任された使命で手一杯で。それからも次々に襲い掛かった出来事が起き彼への想いに気付いたのは八葉のみんなが呪詛を受け八葉としての記憶が失くなった時だった。鬼の洞窟から逃れ神泉苑へと呪詛を解き放ち全てが終わった際に想いを告げようとしたが躊躇って今に至る。


そして本日、4月2日。
今日は天真の誕生日。
誕生日を祝うついでと言うのも何だがいい機会だと思い告げる決意をしてきたのだ。

「ねぇ、天真くん」
「ん?」
「お誕生おめでとう」
あかねが言葉を紡いだ時、今日が誕生日だということを思い出した。
「あ!さては天真くん
忘れていたでしょ?」
「悪かったな。」
「もう、天真くんは。」


「なぁ、あかね」
「なぁに」

そう微笑んだ瞳は柔らかくってドキッと胸の鼓動が高鳴るのを天真は感じた。

「来年も祝ってくれないか?俺の誕生日。」
「うん。もちろんだよ!」
そう元気よく答えた返答に嬉しいんだか嬉しくないんだか複雑な感情が入り交じる。この言葉に隠された意味を鈍感な彼女は気付いてないだろうから。

「・・・お前、意味わかってないだろ?」
「え?」
きょとんとした表情を見て彼は彼女が完全に理解していないことを悟った。

「だからさ、ずっと俺の傍にいて祝えって言ってんの。」
「天真くん・・・?」

「あ〜、だからさ・・・。俺はお前が好きだ。」
率直に捕われるオレンジ色の瞳。まさか再び彼から告白されるとは思ってもみなくって。
もう何とも思われていないんじゃないか、という気持ちが交差して返事が出来なくなり先延ばしにしていたが再び与えられた機会。
本来なら今日、自分がしようとしていた言葉を彼に告げる。

「私も天真くんが好きだよ」
彼女の口から紡がれたものはずっと聞きたかった返事。嬉しさから彼女を抱き寄せ腕の中に納めた。

「て、天真くん・・・!?」
最初は驚き動揺していたが彼の背中に恐る恐る手を回しぎゅっと抱きしめていたのに答える。

「この先も俺はお前を守るよ。今度は一人の男としてお前を守らせてほしいんだ。」
「うん。ずっと一緒にいようね。これからもずっと。」
「あぁ。」


桜吹雪が舞い散る中、絶対にこの両手は離さないと再び誓う。


END
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