オトメイト

□最後に君に逢いたかった
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「ねえ、千鶴ちゃん。君は今どこにいる?」
この場所にいない彼女を心の中で思い浮かべながら、問いかけるように呟く。
瞳を閉じて思い出すのは試衛館で過ごした日々や新選組として過ごした日々。
その中でも最も多いのが、彼女との思い出だ。最初の頃、彼にとって彼女の存在は 新選組に仇を出す存在――
総司に言わせれば 『近藤さんの邪魔になる存在になるのなら、斬ればいい』
そのような存在でしかなかったはずだった。

だけども、いつしかそう思うことはなくって。
それは、彼女と一緒にいた時間が彼の心に安らぎをくれたから。
『沖田さん』
名を呼んで微笑んでくれていた彼女はここにいない。
総司の病が悪化し、新選組を離れ一人 江戸で療養生活を送っている中で今、この場所にいない彼女のことを思い浮かべる。
(逢いたい)
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