遙かシリーズ
□かえる場所
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夜、屋敷でヒノエの帰りを望美は待っていた。
「ヒノエくん、まだかなあ。」
「奥様、そろそろ、お部屋に戻りませんか?別当殿も時期に戻ってくると思いますよ。」
と、一人の女房は微笑みそう言った。
「もう少しだけ・・・。あと、少ししたら戻ります。ですからもう少しだけ、ここで待っています。」
そして望美は月を見上げる。それからしばらくして一歩一歩と近づいてくる足音が聞こえてきた。
「望美、ただいま。」
「ヒノエくん!お帰りなさい」
「別当殿、お帰りなさいませ。」
「ああ。もう下がっていいぜ。後はオレが望美についているから。」
「では、お言葉にお甘えさせてもらいます。」
そう言い、若夫婦に一礼してからその場を去っていく。女房が去っていくのと同時にヒノエは望美の隣に腰をおろした。