遙かシリーズ

□告げる想い
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桜が満開に咲き始めた頃。春休みもあって天真とあかねは花見を兼ねて出掛けていた。その場所は後輩の詩紋と3人で『京』へ跳ばされるきっかけとなった古井戸がある場所。あれから一年の月日が経ち、今この場所にいる。

「あれから一年、か」
あの日々を懐かしむような口調で天真は呟いた。その言葉に彼の隣にいたあかねは「そうだね」と相槌を打ち、言葉を続ける。
「あっという間だったね」
「あぁ。」

蒼く澄んだ空を仰ぐ。視界には満開に咲いた桜並木。あの世界で過ごした時間が記憶の中で未だに鮮明に蘇ってくる。それは天真もあかね同じで。今、二人が思いを馳せるのは遠い時空にいる仲間達。

それとは別に思い出すのはいつも気がつけば天真に守ってもらっていたこと。
前に彼から
『俺はお前に助けられていた。』と言われたことがあるが彼女からしてみれば助けられていたのは自分で。
『じゃあ、お互い様だね。』
そう言って笑ってみせた。
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