10周年記念小説(8本)

□『石田ヤマト』
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俺がしっかりしなきゃ。

俺が、タケルを護らなきゃ。

タケルには俺がいなきゃ。




それなのに、タケルは太一のほうを望むのか?


タケルが成長して
自立してくことは

嬉しいけど

嬉しいけど

怖い。




タケルを護る俺が

タケルに護ることを拒絶されるのは

怖い。



俺の存在はいらないものになるんじゃないか?

そしたら、そこにあるのは孤独?


孤独は怖い。


家族がばらばらに消えて


俺は一人になる。


仲間が俺を必要としなくなって


俺は一人になる。



一人なんだ。






一人なのに

俺じゃない、違う声が聞こえる。

誰だ?



この声を俺は知ってる。

そう、大切な半身。

俺の望む
俺のもう一つの形。
相棒。



ガブモン。




ずっと、そこにいてくれてたんだな。

ごめん、な。

俺は一人じゃなかったのにな。


見渡せば


俺は一人じゃなかったんだ。


ガブモンのおかげで気付けたこと。


太一が俺を待っていて。

タケルがいてくれて。

俺には仲間がいるんだ。



友情をガブモン、おまえが気づかせてくれたんだ。






俺たちは戦ってきた



END

ヤマトは、タケルを支えているようで
タケルに支えられていたのだろう。
タケルを護るということが自分の存在意義にさえなっていたんだと思う。
それが崩れれば
心のバランスも崩せるのは当然だった。
けれど、タケルの自立は
ヤマトにとっては必要なことでもあったと思う。
ヤマトの周りには、冒険を共にした仲間がいて
太一というライバルであり、嫉妬の対象であり、かけがえのない親友がいて
自分の存在はタケルを護ること以外にも認められるということに気付くきっかけだっただろう。

タケルにとって早い成長が本当に良いものであったかは別の話になるが…

ヤマトは冒険において誰よりも成長の幅が大きかった気もするところ。

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