10周年記念小説(8本)

□『八神ヒカリ』
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お兄ちゃん


お兄ちゃん


覚えてないの?
コロモンのこと
鳥の怪獣のこと
私しか、覚えてないの?
変なものがいるよ。
見えないの?
私、変なの?








お兄ちゃん


お兄ちゃん


ヒカリ、熱があるの


なのに私を置いて、キャンプに行っちゃうの?










お兄ちゃん


お兄ちゃん


帰ってきたと思ったのに
また私を置いてくの?












お兄ちゃん


お兄ちゃん?

違う、あなたはだぁれ?……テイルモン?

テイルモン

私、あなたのパートナーなのね。


まだまだ守られてばかりだけど

私もお兄ちゃんの側にいれるのね。


戦えるのね!


お兄ちゃんのこと、助けなきゃ!
お兄ちゃん、あのね、タケルくんが守ってくれたよ。




あぁ、闇が、暗いのが見えるよ

お兄ちゃん

助けて

テイルモン

助けて











「………リ、ヒカリ!」


はっ

「ヒカリ、大丈夫?」

「テ…イルモン?」

「ヒカリ、うなされてたのよ」

「…そう。」

「悪い夢でも見た?」

「……覚えてない」

「ヒカリ、今日は私こっちにいる」

「リアルワールドに?」

「えぇ。手、繋いで寝ましょう」

「……うん。テイルモン?」

「ん?」

「ありがとう」

「あぁ。」












暗いのが来る

まだ弱い私

闇に向き合えるのは

まだ先の私


私は、それでも

前よりは強くなったかなぁ



もう少し、もう少し先に

本当に光を見る時は

来るのだけど

今はまだ

このままで。








私たちは戦ってきた。




END

ヒカリは、特殊ゆえに辛さを抱えて、不安定で脆い。だから、誰かに依存していたい。兄、太一であったり…タケルであったり。
そして太一やタケルもヒカリを護らなければという思いが強い。
それでは彼女はいつまで経っても闇から抜け出せない。
依存するでなく、本当に闇から抜け出せるのは
眼鏡をかけた彼女あってこそなのだろう。
 

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