10周年記念小説(8本)
□『高石タケル』
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「タケル……きっとまた会える。君が……望むなら…… 」
僕は、底無しの絶望の中で、ずっと信じてた。
その言葉を。
だから、また会えたんだよね、僕たちは。
希望を忘れなかったから
僕たちはまた出会えたんだよね、パタモン。
◇◇◇
「パタモン、僕ね、今度お台場に引っ越すことになったんだ。」
「そうなんだ!良かったね、タケリュ!」
「うん。」
「………うれしくないの?」
「そんなことないよ。皆と近くなったし、お兄ちゃんの家も……。ただ…近くなったからこそ、こんなに近くに住んでるのに………違う…家なんだって、“ダメ”なんだなぁって………そう思うとさ………………ってなんか辛気臭くなっちゃったけど、本当に嬉しいんだよ?」
「タケリュ、最近泣かなくなったね」
「えぇっ、いきなり?」
「どーして?」
「んー…僕が進化したから…かな。」
「でも人間は進化しないんでしょ?」
「えーっと…人間の言葉では、“成長”って言うんだ。言っちゃえば進化ってことなんだけどね」
「タケリュたちも僕たちみたいに進化するんだぁ…。僕たちは進化すると、とっても嬉しいけど、タケリュたちは嬉しくないの?」
「…。嬉しくないわけじゃないよ。でも規制とか、我慢とかが多くなっちゃうんだ。」
「それっていけないことなの?」
「いけなくないよ(笑)でも、、少し寂しい…かな。」
「ふぅん…」
「うん?」
「規制があると、信じちゃいけなくなるの?」
「え?」
「さっきのタケリュの言い方、諦めてるみたい。」
「さっきって…家の話?」
「うん。」
「あーはは、…昔みたいに、再婚を期待してちゃダメなのは確かかな。母さんに圧力かけてるみたいで。」
「タケリュはもぅ皆一緒にならなくていいの?」
「そりゃ、一緒がいいよ。当たり前。」
「なら、諦めちゃだめだよ、タケリュ。口に出すのを我慢しても、希望まで我慢しちゃいけないんだ」
「希望を我慢…………」
「うん。」
「してたの…かな。無意識のうちに…………………………………はぁ、僕は馬鹿だね。」
「タケリュは馬鹿なんかじゃないよ!」
「ははっ…うん、絶望の中でだって希望を持つ、それが僕の紋章だもん」
そう、希望の紋章なんだ。
闇の中でも光を見失わない希望。
まだ闇を許せない
この先も許したくない
そうやって、逆に闇に囚われているかもしれない僕だけど
信じてる。
いつか――――――
◇
僕たちは戦ってきた
END
タケルさんの1番の確執は、いまだに家族。あとはバラバラになっちゃうこと。そして何より闇の存在な気がするんですよね。