10周年記念小説(8本)

□『太刀川ミミ』
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「え、引っ越し?」


「そーよ、ミミちゃん。」


「とゆーか転勤だよ。栗山さん、って人がいたの覚えてるかぃ?その人の推薦でね」


「あの、ネイティブアメリカン?とかゆー人ね!…………でも、そっか………………お台場、離れちゃうんだ………。ね、どこに引っ越すの?関東?それとも地方?」


引っ越しても大丈夫よね。

ちょっとくらい遠くたって

皆に会えることは会えるもん!

でも出来れば、近くがいい。

九州とかだったら嫌だなぁ。遠いもん。





「凄いのよ、ミミちゃん!!アメリカよ、アメリカ♪」
















「え?ア、アメリカ?」


嫌。


「あははっ洒落た名前だ…ね。何県?」


嫌。嫌。


「ふふっミミちゃんたら、国よ国Vvアメリカ合衆国!外国よ♪」


嫌。嫌。嫌。











そんな遠く


ちょっと遠いとかの問題じゃないわよ。




皆お台場にいるのに


あたし一人アメリカ?



会えないの?



えっちゃん達とも

クラスの皆とも

光子郎くんとも

そうよ、一緒に冒険した、大切な、大切な仲間とも………





「あたしはっ!」



嫌。嫌よ嫌!
行きたくない、ここに残る。
そう言おうと思った。




けど、



『ミミ!』



って、そう呼ぶ、あたしのかけがえのないパートナーを思い出した。


あたしは気づいたら、肌身離さずいつも持っているデジヴァイスを握りしめてた。











嫌って言ってどうするの?
どうにもならないことを嫌って言って困らせて


そう、それは、わがまま。


あの時と同じだわ。ゲコモンの城でのあの時と。



あたしは、何をあの冒険で学んだつもりだったんだろう



純真。あたしの紋章。




わがままとは違う。





『ミミッ。楽しいわよ、きっと!』




そうね、そうだわ。
なんせアメリカよ?
あたしって外国っぽいし
絶対楽しいわよね!

なんかワクワクしてきた!



「ミミちゃん??」



「アメリカ、あたしも楽しみ!!パーティとかやりたいなぁ!」















◇◇◇◇







その日の夜、ゲートが開いた。

びっくりしちゃった。

前回開いてから一ヶ月も経ってないのに。



「ミミっ!」

「パルモン!」

「元気だった?なんか変わったことあった?」

「元気だったよ。うん。」

「ミ…ミ?なんで泣いてるの?」




「え?あ、ホントだ。あれっふっふぇっぐすっ」


涙は止まらなかった。


パルモンに会って安心したんだと思う。

パルモンにアメリカに行くこと、打ち明けた。

「寂しいの。グスッ寂しい……皆と離れたくないよぉ、離れたくないぃ」

言葉の最後はまた涙が溢れて、唯一引っ掛かっていたわだかまりが一気に溢れだした。


「アメリカに行ったって大丈夫よ。だってアタシとミミも、会えたんだから!遠く離れても、皆との絆は変わらないわよ。アタシとミミがそうだったように、ね♪」


そう言って、ウインクしたパルモンを見て

ほっとした。



多分、心のどこかで、選ばれし子供たち、仲間と、離れちゃうのがすごく怖かった。






けど、もう大丈夫。

だって私たちは強い絆があるから。



我慢でも
諦めでもなく


あたしは心から

アメリカへ行くことが楽しみになった。






「パルモン、パルモンのおかげだよ」


「ミミ?」









「パルモンだぁいすき」





あたしたちは戦ってきた


END
ミミの引っ越し。
私なら辛くて行きたくなかっただろーな(´Д`)
ミミは凄いと思う。
 

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