10周年記念小説(8本)

□『八神太一』
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「太一ぃ、ばいばい」




はぁ?コロモン?何言ってん―――



………………コロモン?














そう言って、コロモンが消えた瞬間
ハッと目が覚めた。

外ではセミが元気に鳴く、この暑い中、クーラーも付けずに、俺は気づいたら

寝てたみたいだ




そう、今のは夢…
夢だよな……………

だって
コロモンと1年前の夏、確かにさよならしたけど

今年の春にまた会えて

戦って

つい最近ゲンナイさんに呼ばれてデジタルワールド行って

抱きしめることが、

くだらない話をすることが、

できて


自由に行き来は無理だけど

いつでも話せて

会おうと思えば会えて


今日なんか特別にって、家に泊まってて





「コロ…モン?」

セミの声だけが煩く響く部屋の中

小さく呼びかけてみる。



ミーンミーンミーンミーン



それでもただただセミの声がするだけ。



「コロモン?コロモン、おいドコだよ」



部屋…父さんの部屋…リビング…キッチン…

いない

あ、トイレかも、あいつウンコタレだから………

いない


鍵だって閉まってる
どっか行ったわけじゃない

なのに

なんで?なんでいないんだよ




コロモン……
コロモン……


















ガチャガチャ キーー…





「えースイカ?スイカはまだ駄目。冷えてないもん。」

「――――――」

「ケチとかじゃないよぉ。あテイルモン、猫のふり、お疲れ様。」

「ふふ、このくらいなんてことないさ」



ヒカリ?出掛けてたのか
テイルモンも?





「別に冷えてなくたってイイのにぃ」




…………………




「こっ…コロモン?!」



玄関を見ると


キョトンとした顔で
俺のほうを見ていた。


「太一どしたの?」


「っ…おっまえ、一言声かけてから行けよバカ!」

「なんで太一怒ってんのさぁ」

「怒ってねぇよ!」



俺はつい

ヒカリもテイルモンもいるのに

コロモンを寄せて

強く、強く抱きしめた。


確かに此処にいる

たとえ会えなくても


俺達の絆は簡単には
消えやしないんだ

それを

コロモンを抱きしめて

凄く感じた。




「いだいよ太一ぃ」

「ははっ悪ぃーな」

「なんかあったの?太一」

「いや、大丈夫だよ。俺は、俺達は、もう。」


そう、俺達は。


「太一?」

「よし、スイカは駄目だけど、アイス食おうぜ」

「アイス?それ美味しいの?」

「うっめーよ」

「ホント?!食べる!」

「あぁ食べようぜ」



















俺たちは戦ってきた。




END

設定:2000年8月末
ドラマCDでニューヨークの子供たちがデジモンで救助活動をこっそり手伝ってたようなので
一応現実世界にも来れるんだろうなと。
 

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