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□世界で一番愛してる
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俺の隣に寝そべって雑誌を読みふけるルキア。
独りでに「ふむ」とか唸ったり、
「おぉ!」と感激したり。
見飽きねぇな。フッと笑う。
あの出来事から3日。
ルキアも大分落ち着き、俺の家へ帰ってきた。
遊子や親父が大泣きし、
どんちゃん騒ぎ状態の
「ルキアちゃんお帰りパーティー」が終わった後、
当然のように俺の部屋でベットに座りながら雑誌を読んでいるという訳だ。

話をしていなくとも、こんなに、傍にいるだけで俺の心が満たされるなんてあの時まで俺は分かっていなかった。
あの事件の事を思い出すと今でも苦々しい思いが蘇って胸を圧迫させる。
息苦しくて、まるで空気のない空間に
放りなげられたような―・・・・。
そう、空気はルキア。
ルキアが居ないと、俺は死ぬ。
そんな大切な存在を―・・・・。


突然、俺の事を誰もが忘れる。
そして、ルキアの事も。
そしてルキア自身も俺の事を忘れていた。
あんなにいつも傍にいたルキアが、俺から離れて行ってしまった事。
俺を忘れていた事。
それは胸にとてつもない穴が空いたようだった。
艶やかな黒髪。
透き通るような白い肌。
芯のある、力の籠った瞳。
全てが俺の視界から消えて。
それは「孤独」の世界だった。
世界で俺1人だけしかいないような世界。
ルキアの中に俺がいない・・・・。
それが、こんなにも苦しい事だと痛感した事は無い。

何度も何度も名を声がもう枯れ果て、二度と出なくなるほど叫んだ。
俺とルキアは繋がっている、そう信じ続けた。
そうでないと、気が狂って死にそうだった。
ルキアが俺の傍に、隣にいない世界なんて。

生きていけねぇよ。

俺の全てなんだよ。お前は。
死神として護れるのも、お前との出逢いがあったからだ。
俺の雨が止んだのは、お前のおかげだ。
俺の影に光を射したのはお前以外の誰でもねぇ。
お前と出逢わなければ、俺はここにはいない。
お前がいなければ「黒崎一護」は存在しないんだ。

お前の胸に、俺の魂をかけて斬月を刺したあの時の事は
忘れられない。
死神姿になったルキアを見て、こらえていた想いが
溢れ出てきそうで。
ぼろぼろの体を抱きとめた時のルキアが愛おしくて。


「・・・どうしたのだ?一護」

ふと視線を感じ、横を見るとルキアが俺の顔を
覗きこんでいた。
雑誌をめくる手を止め、まじまじと見ている。

「らしくないな。熱でもあるのか?」

そう言ってルキアは顔を近づけてきた。
こつんと額を俺の額にぶつける。

「・・・熱は無いようだな」

無防備に顔を近づけるな。
ドキドキしちまうだろ・・・。

綺麗な紫の瞳と目が合う。
吸い込まれるような、生気に満ちた瞳。
こんな可愛い女、
誰もが魅せられるだろうと容易に推測出来る。

けど。

誰が渡すかよ。
俺はもう我慢出来ず、そのままルキアを押し倒した。
ぎしっ、とベットが軋む音がする。

「一護・・?どうし・・・んっ」

ルキアの言葉を口で遮る。
愛おしくて、愛おしくて。

名残惜しくも口を離す。
ルキアは驚いたように、大きな瞳を更に開いていた。

「・・・・な」

「え?」

「もう・・・俺を置いてどこかに行くんじゃねぇ。
お前をもう離さなねぇ。
誰にも渡さねぇ。触れさせもしねぇ。護り通す。」

呆然としているルキアを見て微笑む。
そんなあどけない顔されたら、ますます
好きになる。
本当にいつもは冷静なくせに、こういう事は
鈍感で無防備で・・・・
そんなとこが好きなんだけどな。

「・・・一護、それはつまり・・・」

やっとの思いで言葉を紡ぐルキア。
顔を赤らめている姿が堪らなく可愛い。
ヤバいな、俺。
こんな事言うガラじゃねぇのに。
それだけ愛してるって事か。

「いくらでも言うさ。
 ・・・・お前を、誰よりも愛してる。」

そういうと、また口を開きかけたルキアの唇に
唇を重ねた。
柔らかな感触。
微かに漂う、ルキアの匂い。
1つ1つが俺を酔わせる。

「んっ・ぁ・・一・・・」

深い深い口づけをする。
脳がとろけそうになるほど
濃厚な甘い甘いキス。

ルキアの全てを俺のモノにしたい―・・・。
いつしかそう思っていた。
1秒毎に、ルキアを好きになっていく。
もう堪らねぇ。
「したい」じゃなくて、「する」。
覚悟しとけよ?
ちゃんと、俺が護ってるから。

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