DRRR!!(短編)

□すれ違いベクトル
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大きな音が学校中に響き渡り、同時にそれが終了の合図だと分かると門田はため息を吐いた。
昼休みから続いた喧嘩がようやく終わったかと思っているとちょうど5時限目終了のチャイムが鳴った。
1時間弱、あいつらもよくやるものだ。
そう思いながら門田は読んでいた本を一旦閉じ、首を回す。
ずっと下を向いていたので少し休憩とばかりに軽く伸びをした。


「しかしいい天気だな。」


空を見上げ、呟く。
門田は現在屋上にいた。
どうせああなってしまったからには今日はまともに授業にならないだろうと思い、早々にサボることを決めた門田は屋上で読みかけの本を読むことにした。
そうして1時間、ようやく喧嘩が終わったらしいがどうするか。
このまま6時限目もサボるか、真面目に授業を受けるか。
そう考えていたのだが屋上を訪れた人物によって選択肢は強制的にサボりを選ぶことになった。



「ドタチーン!」



元気よく手を振りながらやめろと何度言っても聞かないあだ名を呼び続ける男が小走りにこちらへやってきた。
先ほどまで喧嘩をしていたとは信じられないくらいの元気に思わず苦笑した。

「教室行ったらいないから探したよ!」
「嘘付け、探さなくてもお前ならすぐ分かるだろ。」
「まあね。っていうかドタチンがいる場所は教室か図書室か屋上って決まってるから!」

ちょっと迷ったけど今日天気がいいし、多分屋上にいると思って。
そう言いながら先ほど喧嘩していた片割れ、臨也は門田の隣に腰を降ろし、甘えるように体を傾けてきた。
門田はそれに文句を言わず、再び本を手に取った。
臨也はそれに不満そうに俺がいるのに本?と不貞腐れている。


「あと少しで読み終わるからな。」
「・・・ちょっとくらい構ってくれてもいいと思うんだ。」
「そういうのは静雄に相手してもらえ。」
「シズちゃんとはもう今日は終わり!今はドタチンに構ってもらいたいの!」


そう言いながら座っていた門田の足の上に臨也が倒れてきた。
子どものようにその状態で構って構ってと言ってくるのでさすがに呆れてしまう。
もう高校生だというのにこの子どもっぽさはどうなのか。
それが自分の前だけだと分かってはいるがさすがに少し心配になってきたところでようやく膝の上の臨也が動かないことに気づいた。

「臨也?」
「んー。」

返事をしたかと思うと臨也はそのままごろんと仰向けになり頭を門田の足の上に乗せた。
しばらくもぞもぞと動いていたがちょうどいい位置を見つけたのかそのまま臨也は目を閉じる。



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