DRRR!!(長編)

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「…っ!」


右を見ても。


「…っ!!」


左を見ても。


「っ、にゃんこ最高っ!!」


大好きな可愛いもの、猫で溢れたその空間は臨也にとって天国だった。
臨也はこれ異常ないくらい目をキラキラと輝かせながら猫の群れに突っ込んで行った。



++++++++++++++++++++++++++++


「すごいねえ、ゆまっち!」
「すごいっすねえ、狩沢さん!」
「………。」

猫カフェの猫のいる部屋(猫のいる部屋とお茶をする部屋が分かれている)を眺めながら3人はゆっくりとお茶をしていた。
あの後渡草の車で猫カフェに来た4人は臨也を筆頭にそれなりに楽しんでいた。
ちなみに渡草は特に興味がないと着いてこなかった。


「可愛いっすね〜。」
「ドタチン、写メっていいかな、いいよね!?」
「…お前はどっちを撮る気だ。」
「え、もちろんイザイザに決まってるよ!でも別に撮ろうとしなくても勝手に猫が入っちゃうし。」
「そうっすね。」
「そう、だな。」
「もうあれだね、これはもう猫使いイザイザって呼ぶべきだよね!」


狩沢の言葉に遊馬崎も門田もうんうんと頷いた。
まあ頷きたくもなるだろう…今の臨也の状態を見れば。



にゃあにゃあ

「ちょっ、くすぐったいよ。」

にゃぉう

「はいはい、ちょっと待っててね。」

にゃう にゃあ にー

「あはは、そんなよじ登って来なくても大丈夫だよ。」



順番ね?そう言って至極ご満悦といった表情で猫を抱き上げる臨也の周りには猫カフェにいるであろう全ての猫が終結していた。
猫たちはハートマークが飛び散っているように見えるほど臨也に異常なまでに懐いており、撫でられたり抱きしめられたりする度に嬉しそうに鳴き声を上げている。
これには店員も驚いていて、「こんなに猫が初めての人に懐いているところは見たことがない」と漏らしていた。
まあ猫の中心にいる本人は可愛い可愛いと思う存分猫を愛でており、周りの様子などお構いなしだが。

「あー、可愛いなあ可愛いなあ!もう俺ここ買い取ろうかなあ…。」
「やめろ、お前が言うと冗談に聞こえない。」
「え、本気だけど?」

ようやく猫の元から戻ってきた臨也は席に座りながらそう呟いた。
目がマジだったので門田はとりあえずやめておけと臨也の頭を軽く叩いた。
そんなことをしたらこの先際限なくなってしまうのは目に見えている。


「今日は連れてきてくれてありがと、狩沢、遊馬崎。」
「ううん、むしろ可愛いイザイザが見れてこっちこそありがとう!」
「本当に可愛かったっすねえ。」
「…お前らなあ。」
「ドタチンも付き合ってくれてありがと!」


満面の笑みでお礼を言う臨也に、まあいいかと門田は苦笑した。
ちなみに毎回の事というか、狩沢と遊馬崎は臨也の笑顔を見て悶えていた。
が、そこで頼んであったコーヒーを飲みながら臨也が大きなため息をついたので門田は疑問に思った。
先ほどまであれほど満足という顔をしていたのにどうしたのだろうか。
気になって聞こうとしたが、その前に臨也が口を開いた。


「…可愛い、うん、可愛いんだよ。」
「?」
「でも違うんだよなあ、やっぱり。こう、満足感が得られないっていうか…。」
「どうしたのイザイザ?」
「え、何が?」
「何がって、自覚ないのか。」
「…あれ、俺口に出してた?」
「思いっきり出してたっすよ?」


言われて臨也は口を噤む。
一体どうしたのだろうか、と3人は揃って首を傾げた。
そんな中、目線をうろうろと彷徨わせながら臨也は言おうか言うまいか考えていたのだが、やがて決意したように口元を引き締める。
そして臨也の口から出てきたのはありえない言葉だった。


「あのさ…どうやったらシズちゃんを抱きしめられるかなあ?」


一瞬の沈黙。
そして門田はあまりのことに絶句し、遊馬崎も驚きでその細い目を見開き。
最後に狩沢はというと。


「リアル静臨キタ―――――っっ!!」


大興奮で叫んだ。


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