死の魔女と死の外科医

□past2
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アカリは世間の目も考えて魔法省に就職した。

見事隠し通した学生生活で、先生たちからの人望も厚く、稀に見ない天才魔女としてかなり優遇された。



その裏で





「っお前…」

「噂の死の魔女か」

彼女に出会うと必ず死ぬ
と噂されている彼女の顔を見たことはだれ一人いない。
死喰い人でさえ知っている人が少ない。


なぜならその場にいる人を皆殺しにするから。



『・・・』

「なんだ・・?何もしないのか?」

「名前だけなんじゃねぇのか?」

『・・・』

何もしゃべらず、動く気配さえない彼女に拍子抜けをした闇払いが彼女に杖を向けた瞬間だった。




彼らは絶命していた。




魔法をかけた瞬間も何もわからない。
動いたのかさえ彼らにはわからなかっただろう。




『バカな人たち・・・』

アカリはそれだけつぶやくと、死体をその場から消した。

アカリは自分がその場にいなかったように、周囲に忘却呪文をかけると周りをぐるっと見渡した。


有能な魔法使いは、虫1匹からでもその場の様子を見ることが出来てしまう。
それさえも許さないアカリの徹底さに、闇祓いは参っていることだろう。



もう一度周囲を確認すると、その場から消えていった。




*************




「てめぇはどうやって知ったんだよ」

ローはウィルを睨みつけながら、問いただした。


「偶然にも残った死体からだよ。

アカリはすべての死体を消そうとしてたけど大量殺戮もしてたからね。その残った死体の指から記憶を回収して回ったんだ」

「悪趣味だな」

「ははは!!!!
それだけ彼女を殺したかった」

「……そうかよ」



ローはどんどん弱っていくアカリを見ると盛大に舌打ちをした。
一刻もはやくこいつを倒さなきゃならないのにアカリの過去を知っておいて損はない。


たまに悪夢にうなされているアカリに気づいていたローは、聞く必要があるとふんでいた。


それに、こいつはアカリの最大の過去の秘密を知っている。






そして彼の口から続きが紡がれた。
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