死の魔女と死の外科医
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白い大きな建物の前にくると私は自分の魔法を解いた。
私はもとからここにいたのだが、男からは魔法で見えなかった私にすぐに人だかりができ、にやにやと卑下な笑みを浮かべる男たちを無表情で見返した。
「女は全員逃げ出したかと思ったのに、かなりの美人が残ってるじゃねえか」
「こいつを手に入れた日にはこの島では不自由しなくなるんじゃねェか?」
「そうしたらきっと彼も喜んでくれるぜ…」
『私はこの建物の中に用事があるの。どいてくださらないかしら』
男たちが口を開く前に杖を振りかざし、先ほどと同じように一気に周りにいた男を吹き飛ばすと目の前にある白い壁を破壊した。
ここにいなかったらここの男を半殺しにしても聞き出そう。
物騒なことを考えながらかつかつとヒールの音を鳴らしながら真っ白な廊下を進んでいった。
本当に真っ白で色がなに一つない
時々天井に着いている監視用の真っ白いデンデンムシを破壊していくが、だれもでてこない。
それにさきほどおばあ様が言ってた「一人の男」がここにいる。たった一人。
『…不気味ね』
それにさきほど男が言っていた「そうしたらきっと彼も喜んでくれる」…その彼がここの所有者なのだろう
シーンとしている白い空間は私がいた黒い世界より気持ち悪いと感じた。
しかし、ローたちがいると思えば行くしかない。
どんどん奥へと続く廊下を進めると治療室を見つけ足を止めた
『病院?』
にしては少し不気味すぎる。
何もない。
入院患者もいないように見えたが、せっかくみつけた部屋なので杖を向けると治癒室の中へ飛び込んだ
『…ひどいものね』
そこに横たわっているのはなんとか原型をとり止めている女の人たちで、きっと反発した人たちなのだろう
人工マスクをしていて、点滴が打たれるなど最低限の治療が行われただけで骨折も放置、顔が原型を止めないほど殴られていて、性器からはこびり付いた血と精液が見えた。
そのままで放置され生かすためだけに作られた空間だった。
『……エピスキー(癒えよ)』
一人ずつ魔法をかけていくと先ほどよりはよくなり、応急処置にしかならないが顔の原型は少しだがもどっていた。
『ロー…』
こんなとこに彼らがいるのかと思うと、ますます彼とシャチやベポ、ペンギンたちの安否が不安になりまた廊下の奥へと進む
彼に何もありませんようにと願いながら。