死の魔女と死の外科医
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この状況をどうにか打破したい……
「だから言ってんだろ?その女の俺にくれれば退散してやるって。」
「お前は頭が足りないのか?やらねぇっつってんだろ。」
そういってにらみ合う顔面凶器の赤色、ユースタス・C・キッドと、我らが船長、トラファルガー・ロー。
彼はあの夏島で私が海軍を倒しているときに遠くから見ていたらしい。
こんなド派手で気配、どろどろした雰囲気がでている人がいたことに気付かなかった私は平和ボケした、と舌打ちした。
そしてあの場面を見て、私を彼らの海賊団に引き入れたいらしいが、もちろんローは行かせるつもりはないし、私もない。
『もうお引き取りください、ユースタスさん。』
「そういう事だ。」
アカリは呆れたように言うと、ローが後ろから抱きしめた。
「お熱いことで。」
「そういうことだからあきらめろ、ユースタス屋ぁ。」
しかしそこであきらめない彼は少しうざい。
それに私が行かないと言ってるんだから行かない。
『今日はベポとお昼寝する約束してるの。
さっさと自分の船に引き返していただけるかしら…
さもなくば、殺すわよ』
アカリがキッドを睨み付けるとびりっと空気が重くなった。
というよりか、何人もの船員がその空気によって倒れたというほうが正しい。
「あっはっは!覇気も使えんのか!
ますますほしくなったぜ!!」
『殺すって言ったのが聞こえないの?』
アカリが杖を向けるとローが腕をつかんだ。
「まだ争う時じゃねぇ。ユースタス屋、これ以上俺の妻を怒らせるな。
恐妻だからな。」
そういってクックックッと笑うローにアカリは杖を下ろした。
「仕方ねェ…次は連れて行くぞ。」
そういうとキッドは引き返した。
ベポとのお昼寝タイム削られたことに、まだ不機嫌なアカリ。そのビリビリした空気に、周りの船員は後ずさりするしかなかった。
「アカリ〜!そんな怒らないで.......一緒にお昼寝しよう?」
少し困りながら近寄ってきたベポにアカリの表情は緩んだ。
『本当に可愛いわ、ベポ。
そうね、寝て忘れちゃいましょう。』
今回はベポに救われた.......!
アカリから発されていた空気が和らぎ、船員達は胸を撫で下ろすのだった。