死の魔女と死の外科医
□navy
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アカリとローは船に戻ると、すぐにベポが勢いよくアカリに飛びつき、アカリは耐えきれずその場に倒れこんでしまった。
その際すごい音がしたが、アカリはベポを抱きしめ頭を撫でた。
「アカリっ、昨日はありがとう!…僕、あのときすごく悲しかったけどアカリがかばってくれて嬉しかったよ!」
ベポはあのあとずっと泣いていたのだろうか…
目が少しだがいつもより腫れぼったい気がした。
『ベポは私の大切な仲間よ?
仲間が侮辱されて怒らない人はいないわ。』
でしょう?と押し倒されてる私を苦笑いしながら見下ろすローを見ると当たり前だ、とローが言った。
「アカリっ、キャプテンっ、ありがとう!」
ベポはそう言うとベポの下になっている私に抱きついた。
重い…
「ベポ、もうアカリを離してやれ。潰れてるぞ」
「ああ!ごめんね!」
そう言ってどけると倒れている私に手を差し出してくれた。
本当に優しいくまさんだ。
『ベポ、私たち買い物行くから後でとりに行ってもらえる?』
それでおあいこね、とアカリが微笑むとベポはわかった!と笑いまた船内へと入っていった。
その足取りが軽いのは気のせいではないだろう。
アカリはそのあと急いでドレスから別の服に着替えた。
ローの帽子と似た柄の白色に黒の豹柄のタンクトップ、
黒のシースルーのカーディガンを着るとハイウエストのデニムジーンズを履き、
茶色のショートブーツを選んだ。
もちろん太ももに杖は装備している。
ローを意識したコーディネート。
『お待たせ』
アカリが待っているローのいる医務室を開けると、医書から私へ視線を写すとローはニヤリと笑った。
「俺を意識したのか?」
『似合う?』
「あぁ、可愛い。」
『恥ずかしげもなくよく言えるわね…』
「あ?そのくらい可愛いってことだ。」
ローは医書を元あった本棚へ戻し、自然に手を差し出してきた。ローはかっこよすぎる…
ローはそんな見つめたら恥ずかしいだろ?と私の手を取り歩き始めた。
どっちが、という声はひっこんでしまった。
「さて、初デートするか。」
改めて昨日付き合い始め、初デートになる…
『楽しみ…』
アカリはそう言うとぎゅっと手を握り返した。