死の魔女と死の外科医

□trip
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暗いくらい森の奥に




それは美しき魔女




彼女の美しさはまるで薔薇のよう…





しかし美しい薔薇には棘がある








『Avada Kedavra(アバダ・ケダブラ)』






許されない魔法を口にするとともに、目の前にいた闇払いの魔法使いたちは緑の閃光に包まれ、息絶えていた。


その魔法を言い放った彼女は真っ黒な腰まである長い髪が風に靡き、隠された顔の仮面からは深い澄んだプルシャンブルーの目だけが外の空気に触れていた。






「クックックッ 悦いぞ、アカリ…」


『……』



物陰から出てきた彼には目もくれず、アカリと呼ばれた彼女は、死体に杖を振るとその場にあったものはなくなっていた。


「ククッ いくら自らを嫌おうと構わないが、お前の家は代々スリザリンに使える優秀な家系だ。




わかっているだろう?」





偉大なる闇の魔法使い…

世間では名前を言ってはいけない「あの人」と呼ばれているヴォルデモート卿に抱き寄せられた。


しかし彼女の視界には彼が入っていないかのように呆然と立ち、ちらっと目だけを自分の主人に向け、ありがとうございます、と小さい声で呟いた。




「いやいやながらも忠実に従うアカリはいつみても面白い。


今日はもういい、帰れ。」




ヴォルデモートの束縛から離れると一瞬にしてその場からアカリの姿はなくなっていた。



ヴォルデモートはさっきまで己の腕の中にいたアカリの存在を確認するように手を見つめていたが、間もなくして彼の姿もその場から消えていた。











その場でいくつもの命が消えたことはわからないかのように、暗い森には静寂が戻った。


しかしそこには禍々しい闇の深いどろどろとした雰囲気が漂っていた。
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