二次創作U

□こころひとつ
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アルヴィスのはずれにある居住ブロックの一室。

濃密な空気漂う室内の
小さなベッドに折り重なるようにして寝ている二人の少年。
浅い吐息を吐きながらもしっかりと抱き合っている。

やがて、黒髪を組み敷くように覆い被さっていた亜麻色がようやく呼吸を整えて、
ゆるゆると体勢を下の少年の負担にならないようにと変える。

「ふぁ…っ」

すると、黒髪の影がびくりと跳ね、掠れた声が上がる。

卑猥な水音と共に、
自分の腹を体液が這うのと、互いを繋ぐ楔が抜かれる感触
それにぞくりとした感覚が身体を走り抜けたのだ。

「あっ、…まっ…て」

思わず離れていく身体を腕を伸ばして引き留める。

勿論、身体は行為によってもう疲弊しきっているはずなのに、
もう少しこうしてふたり繋がっていたい、
更にはもう一度、という欲求が胸を占めるようになる。

それは、言いようのない愛しさと寂しさ。

自分の中に空洞が出来て、
己の一部が無くなってしまうような
喪失感。

切なくて悲しくて、そして嬉しい感覚。


『たぶん、俺たちは繋がってるのが正しいんだ』

でないとこの喪失感は説明のしようが無い。

そう言い聞かせるように自分を納得させる。


彼が自分の我侭を咎めずに抜けかけた楔を再び納めるべく、
優しい愛撫を開始すると、
黒髪もその心のままにまた、亜麻色を引き寄せ思い切り裸の身体を押しつけた。

繋がっている部分がまた熱を放ち始め
二人の身体にもそれが伝わる。

熱い吐息を共有するためにまた、唇を重ねた。
もっと、もっと深くとそればかりを考えながら。

嬉しくて、とても安心する。
いつの間にか溢れ出た喜びの涙はやはり暖かかった。


――たぶん、俺たちはひとつでいるのが正しいんだ。





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