二次創作

□睦言
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「う…」

尋常ではない息苦しさに眠りを覚まされ、一騎は瞼を開いた。

灯りの消された室内。

その中で、自分の上で動く気配。
確かめるまでもないが、
部屋の隅の小さな常備灯が、一騎の目前に僅かに照らすのは見慣れた髪色。
頸部を圧迫する指は、まごう事なきこの部屋の主のもの。

彼に、総士に馬乗りにされ首を絞められている。

そう状況を認識すると、
一騎は、ふっ…と微笑み首にある総士の手に己のそれを添えた。

まるで、『もっと力を入れろ』と促すように。

その通りに、総士の指は段々と力を増す。

やがて酸素を得られなくなった一騎の身体は意識を放り出そうとする。

全ての鎖から解き放たれるような快感に酔いしれようというその時、
今度は両の頬を叩かれ再び意識を浮上させられた。

途端、身体が空気を求め咳き込ませる。
体を捻り、苦しそうに呼吸をする一騎の背中を、横に退いた総士がためらいがちに触れ、撫でる。

暫くして、


「…良いのに」

背中を向けたまま、一騎が言う。

ようやく呼吸が整ったようだがまだその声には苦しそうな響きが残るが

『止めないで、良いのに』

一騎はそう言った。


「…なぜ…?」

地の底に響くような声をした総士の問いに、
一騎はゆっくりと振り向く。

「だって、そうしたら俺はお前のモノになれるだろう」

それにさ、と微笑みながら付け加える。

「お前はすぐに追いかけてきてくれるんだろう?」


耳元で囁く、それは甘い誘惑の言葉。


*****

その通り、
だって君のいない世界に僕は居られない。


*****

何度目になるのか、言葉遊び。

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