二次創作

□恥じらい
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夜、眠るときに
総士は俺のこと両腕で抱きしめる。

今日もそうだ。
すっぽりと、
腕の中に収められる。

嬉しいけど、だけど・・・


*****

 恥じらい

*****


「あのさ、総士・・・」

「なんだ、一騎」

「・・・顔が近過ぎるんだけど」

「そうか?」

そう、視線を上げると総士の顔がくっつきそうな程に近い。
明かりをぎりぎりまで落とした空間でも判るほどに。
それが無性に恥ずかしくて思わず顔を布団に埋める。

すると、総士は俺の考えてることが分かったようで、
クスリと息を漏らすと
前髪を退けてから額に軽く唇で触れた。
それから俺が逃げられないようにしてから同じように布団に潜ってきた。

「一騎」

ぎゅっと抱きしめながら耳元で名前を呼ばれた。
布団の中だから余計に声が籠もって響く感じがする。

「ん・・・」

気恥ずかしさに肩を竦めると
今度は逃げられないようにと片方の手を俺の顎に添えて、
顔を向かい合わせてきたのが分かった。
暗くてお互いの顔が殆ど見えないから
すごく緊張する。

「一騎」

俺が返事を出来ないでいるから
総士は勝手に俺に頬擦りしたり、キスをしている。
軽く音を立ててるのは、絶対わざとだ。
なんだか・・・からかわれている気分になる。

「だからさぁ、総士・・・」

俺が呆れたようにしてやっと口を開くと
総士はお互いの鼻先を摺り寄せる様にしてから動きを止めた。

「嫌か?」

そう言う総士の吐息が掛かってすごくくすぐったい。
恥ずかしくて逃げたくなるけど腕の中から動けない。
違うと首を振ろうとしたけど
唇が、触れるか触れないかの位置にあるのが分かって身動きが取れなくなった。

その位置で総士が、俺がちゃんと言葉で答えるのをじっと待っているようで、
性格の悪い総士らしいとむっとしてから
ようやく覚悟を決め、小さく息を吸って口を動かす

「嫌じゃ・・・ないよ」

たった一言。
たったそれだけの台詞。
言葉を発している途中で何度か総士の唇に掠めた。
触れた部分が、すごく熱くて、
たぶん今、俺の顔も真っ赤だと思う。


「ただ・・・すごくどきどきするんだ」

これ以上無い羞恥に
堪らなくなって抱きつくと、
総士はご褒美とばかりに強く抱きしめて、
優しいキスをくれた。

たくさん、たくさん


キスとか、嫌いじゃないけど・・・。
それまでの雰囲気が恥ずかしくて耐えられないんだよ。
解れよ、この馬鹿総士。



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