夢想話

□癒しと安らぎ
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「フ〜、フ〜……う〜ん…もう少しですかね」



クツクツと音をたてる銀色の鍋。
その中に塩を一振りし、ゆっくりかき混ぜて小皿に取ると



「…うん、美味しくできました♪」



満足そうに微笑む貂蝉。




「何時頃帰って来るんでしょ…ご飯は先に食べてた方が安心しますよねきっと」




時計を見つめ呟くと、丁度テーブルの上から“わふわふ”と又聞こえる犬の鳴き声。
急いで携帯を開けば

〔腹減った。もう帰りたい〕

と一言だけのメールが入っていた。





(接待ってご飯食べないんでしたっけ?奉先様甘すぎる物以外好き嫌い無い筈ですし…)



〔ご飯食べないで接待してるんですか?
相手の方もお腹空いてたらお仕事の話できないんじゃありません?〕


〔相手は食ってる。
だが俺は食う気せん。貂蝉の作った飯が食いたい〕


「…わがままですねぇ//」



そう言いながらも思わず口元が緩む貂蝉。






「でも一人だけ食べないのは印象悪いんじゃ…」


ふと気付き、呂布の置かれた状況を色々考えてから


〔相手一人で食べさせちゃ失礼ですよ。少しは食べないと…今日は晩ご飯作ってあげませんよ?〕



貂蝉は少しだけ意地悪なメールを送った。



すると少しして


〔貂蝉の飯食いたいぞιちゃんと食うから飯頼む(:_;)〕


絵文字を使い気持ちを伝えて来る呂布。
その可愛らしさにキュゥッと胸が締め付けられるのを感じながら



〔偉いですよ奉先様^^
美味しいご飯作って待ってますねvV〕


動くハートの絵文字を添えて返信した。










「おぉ、遅かったな呂布社長」

「すまない、少し大事な相手と話していてな…」

「ほぉ…この曹孟徳より大事な相手が居ると?」

「…少し前に胃を痛めてな、医者にこういう飯を食って良いか聞いていた。一人で食うのもつまらんだろ」

「ふむ…その年でお主も難儀よな。好きに食えんとは」

「…まぁな」



軽く会話を交わし、用意されていた懐石料理を口に運ぶ呂布。



(このくらいの嘘は良いよな。早く終えて貂蝉と…)



愛しい妻を想い、その顔は優しげに緩んでいた。








―――――――――――






「奉先様…ちゃんとご飯食べましたかね」



ちゃぷりと湯に肩まで浸かり、ふぅと息をはく貂蝉。



「…静かですね……ほんとに…」




“貂蝉♪俺も一緒に入って良いか?”



「…早く帰って来てほしいです」



いつも乱入してくる筈の声を思い出し、ぱちゃぱちゃと一人お湯を遊ばせる。





すると


 “わふわふわふ”


脱衣所から聞こえる犬の声。

慌てて湯船から上がり携帯を開けば



〔もう耐えれん!!帰る!!!〕


又簡単な一言だけが書かれていて、貂蝉は慌てて呂布に電話をかけた。




『貂蝉♪今から帰るからも少し起きててくれるか?』

「それは良いですけど、いきなり帰っちゃ相手の方が怒りますよι
気に入らない事が有っても、少しは我慢しないと…」

『十分我慢した。あの匂いは耐えれん、帰る!!』

「匂い、ですか??」

『あれはきつくて耐えれんι俺の代わりに張遼置いてくから問題ないし……もう帰って良いだろ?』



甘く囁くような口調に、ほんのり頬を赤くする貂蝉。



『……まだ駄目か?ι』



更に寂しそうな声で言われ



「…気をつけて帰って来て下さいね。ちゃんと起きて待ってますから」

『おう!すぐ帰るぞ』




苦笑しながら、呂布の嬉しそうな声を最後に通話を切った。





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