夢想話
□愛しのメイド様
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数日前…。
『ほぉ〜…今はメイド喫茶というのが流行ってるんですねぇ』
『秋葉原にはお店がいっぱいあるみたいですよ』
『そうなんですか。
……可愛らしいですなぁ』
『…文遠様もメイドさんにご奉仕されたいですか?』
『いえ、只たんに服が可愛らしいと思っただけですよ。
…貴女の傍に居れれば、他に何もいりませんしね』
『!……文遠様…最近変わりましたね//』
『思うだけで貂蝉に伝わると思うな!と呂布殿に怒られましてね。
これからはなるべく言うようにしようかと』
『…そうなんですか//』
(…お兄ちゃんに感謝しなきゃですね)
「そう言えばテレビで見ましたっけ…
それで…その服を?//」
「お兄様の知り合いに服飾関係の方が居るのを思い出して、扱ってたら連絡してほしいと頼んでたんです。
そしたら注文してくれたみたいで…それが今日届いたんです」
張遼の着替えを手伝いながら経緯を話す貂蝉。
そのほんのり染まった頬を見て
(私の為に、恥ずかしいのを我慢してくれてるんですね…)
自然と緩む口元。
優しい眼差しで見つめられているのに気付いた貂蝉は更に赤くなり
「…変でしょうか?//」
上目使いで恐る恐る張遼へ尋ねた途端、優しく抱きしめられた。
「!ぶんえっ…///」
「とても可愛らしいですよ、貂蝉」
耳元で囁き、優しく髪を撫でてくれる張遼に
(頼んで良かった…送ってもらえて良かった///)
幸せを噛みしめ、貂蝉はそっと張遼の肩に赤い顔を埋めた。
「すぐ出来るので待ってて下さいね」
「ゆっくりで良いですよ…」
(可愛らしい姿を見てられますしね♪)
着替えを済ませ、居間へと移動した二人。
台所に立ちいつものように料理を作る妻の背中を
(本当に良く似合ってますな……とても可愛らしいです貂蝉殿//)
張遼はいつもより幸せな気分で見つめていた。
(私の為にわざわざ頼んでくれたんですよね…
あんなに恥ずかしそうに頬を染めながら、それでもいつものように優しい笑顔で出迎えてくれるとは…)
「…愛されてるんですな///」
「何か言われました?」
「いえ、その…本当に可愛らしいなぁと思いまして…」
「…気に入ってくれました?//」
「勿論。新しい貴女の姿が見れて幸せです」
あまりにも率直な言葉に思わず振り向く貂蝉。
しかし真っ直ぐ重なった視線の先には、遠くからでも分かる位に赤くなった張遼の姿があって…
「……その…呂布殿の真似をしてみたつもり……だったんですけど…///」
視線は反らさないものの、段々小さくなっていく声を聞き、貂蝉は自然と柔らかな表情になる。
「そんなに頑張らなくて良いですよ…
文遠様のペースで、ゆっくり言えるようになって下さい」
とても優しい声音に、胸がふわりと暖かくなるのを感じながら
「…もう少しだけ待ってて下さいね//」
張遼は少しだけ恥ずかしそうに笑い返した。
「お待たせしました」
「有り難うございます//
これは美味しそうですなぁ」
数分後、運ばれて来たのは鮮やかな黄色いオムライス。
「仕上げはこれです♪」
そう言って取り出したのはケチャップで、貂蝉は慎重な動きでオムライスの上に絵を描いていく。
「ここをこうで……
出来ました♪」
「有り難うございます。
これは…随分と可愛らしいですな」
クスリと小さく笑う張遼。
オムライスの上に描かれたのはつぶらな瞳の猫の顔。
「それでは早速…」
「あ、ちょっと待って下さい」
食べようとした張遼を止め横の椅子に座る貂蝉。そして…
「今日は私が食べさせてあげます。
あ〜んして下さい」
「えぇ!?あ、いやそれは流石に悪いですし////」
「今の私はメイドですから。遠慮しないで下さいご主人様♪」
「……///」
ニコニコと楽しそうに笑う妻に負け
張遼は差し出されたスプーンをパクリと口に含んだ。