夢想話
□温泉旅行をプレゼンツ!!
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「本日は当旅館にお越し下さり、真に有り難うございます。どうぞごゆっくりお過ごし下さい」
「はい。お世話になります」
そう言って頭を下げる貂蝉を見て、呂布と女将さんは小さく笑う。
案内されたのは、この旅館で一番人気の部屋。
和風の内装が美しく、窓からは青々とした木々や、昔ながらの家が多数眼下に広がっていて、柔らかな風が吹き込んでくる。
旅館の説明をし終わり、女将さんが部屋を出ると貂蝉は早速窓から外を眺め
「時代劇みたいです♪」
子供のようにはしゃぐ。
そんな姿を見て
(頑張った甲斐があったな…)
優しく笑い、呂布は広い部屋にゴロリと横になった。
そよそよと頬を撫でる風を感じながらそっと目を閉じると、そこには普段の喧騒は無く、静かな部屋に心地よい風の音だけが鳴っていて
(…こういう静かなのも良いもんだな……)
そう思った時
微かな音をたて、近づいて来る気配。
ゆっくり目を開けると、すぐ横にちょこんと貂蝉が座っていて
「…お疲れさまです」
優しい笑顔で呂布の頬を撫でた。
「なんだか久しぶりに触られた気がするな…」
「奉先様お仕事で遅く帰って来てたから、しばらく仲良くしてなかったですしね…」
「そうだな。……でも今日から又いっぱい仲良く出来るぞ♪」
「今日はいいです。ゆっくり休んで、明日から仲良くして下さい^^」
「そんなの待てん。俺は今すぐ仲良くしたい」
言うなり呂布は手を握って引き寄せ、バランスを崩した貂蝉は呂布の上にぽすんと倒れ込む。
「もぉ……奉先様ワガママです」
そう言いながらも貂蝉はそっと呂布の胸に頬を寄せ
「…あったかいです」
にっこり呂布に笑いかけた。
「貂蝉もあったかいぞ…」
呂布も柔らかく笑い、そっと背に手を回して抱きしめる。
柔らかなぬくもりに、抑えていた筈の眠気が蘇り
(……このまま寝たい…)
自然と目蓋が閉じ、呂布の身体から力が抜けていく。
そして
(……ねむ…ぃ…)
そう思ったのを最後に、呂布の意識は途切れた。
「……ん……ぬぅ…」
「…お目覚めですか?」
ふわりと髪を撫でられて見上げれば、そこに貂蝉の笑顔。
頭の下には柔らかな膝がしかれ、呂布はいつの間にか膝枕をしてもらっていた事に気づく。
「…ぅぬ……ねてたか?」
「ぐっすりと。…やっぱり疲れてたんですね」
「む〜……おぼえてない」
「ふふ…寝顔、可愛かったですよ^^」
「…ちょうせんのがカワイイ」
眠そうに話す呂布にクスリと笑い、そっと頭を撫でる。
普段は頼れる歳上の夫。その夫が見せる子供のような姿に、貂蝉は微笑んで、そっと額に口付けた。
「……どうせなら口が良いぞ」
言いながら貂蝉の頭に手を回し、優しく引き寄せ
鼻先が触れそうな程に顔が近づき、貂蝉の頬が赤らむ。
「…してもらって良いか?」
少しだけ甘えを含んだ声で囁かれ、貂蝉の胸にくすぐったさが広がる。
「甘えたさんですね…」
「それがお前の惚れた男だ」
「クス……そうでした…」
小さく笑い、貂蝉は優しく唇を重ねた。