夢想話
□傍にある光
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「おはようございます張遼様^^」
「…おはよう、ございます……」
翌朝
いつものように貂蝉殿が私を起こす。
眩しい光を背に受ける姿は、とても美しく
(…まだ、慣れないですな////)
私の顔が熱を上げる。
結婚して、早一ヶ月
まだ慣れない朝の光景は、とても幸せで…
だから…
あの夢が余計に怖くなる。
手にしたばかりの幸福が
泡のように消え去ってしまうようで…
(…私は捨てられるんだろうか……)
時を選ばずよぎる不安。
苦しくて苦しくて……
胸が潰れそうになる。
「…張遼様!」
「……ぁ…」
気づけば、目の前に貂蝉殿の顔。
…顔に出ていたのだろうか……
その表情はひどく心配そうで…
「…すみません。少し考え事をしていてι^^」
何とか笑えてる自分に、少しほっとした。
貂蝉殿には、心配をかけたくないから…
「……とても苦しそうですよ?ι」
「……仕事に行ってる間、貂蝉殿と離れるのが寂しくて……
その…すみません//」
恥ずかしくなり
思わず視線をそらす。
半分は嘘
でも半分は本心。
離れてる間
悲しさに堪えきれる自信が……今は無い。
不意に、頬に添えられた暖かい手の平。
優しく、少しだけ上向かされた目線の先には
愛しい人の柔らかな笑顔。
ゆっくり近づき
そっと口を塞がれた…。
「…寂しくならないように、おまじないです//」
頬を染めて言う貂蝉殿に、私の頬も熱を上げる。
鼓動も高鳴り
胸の中が幸福で満ちていく。
あぁ…
この方と結ばれて良かった……。
玄関で靴を履き、振り返ると、笑顔で鞄を差し出す貂蝉殿。
そっと手を伸ばし、華奢な身体を抱き寄せる。
「…真っ直ぐ帰りますね」
「…はい///……お待ちしてます」
そっと抱き合い、私は家を出る。
いつまでも手を振り見送ってくれる貂蝉殿を見て
(…頑張ろう)
そう心に誓い、会社に向かった。