夢想話
□桜と酒と、大事な人
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暦の上では春になり、寒さが少しずつ緩やかになり始めたある日の昼下がり…
「失礼しやッス!!これ見て下さい社長!」
「…お前又くだらん事考えて来ただろ」
「おりょ?何で分かったんスか?」
「お前が敬語はさんで話す時は大体くだらん用件だからな」
突然駆け込んで来た部下にフンと鼻を鳴らし、呂布は大きなおにぎりにかじりつく。
「そう頭ごなしに否定しては可哀想ですぞ。
高順殿もおにぎり食べます?」
「お、嫁さんの手作り弁当かぁ。良いねぇお前は毎日」
張遼の隣に座り、綺麗に海苔が巻かれたおにぎりを一口で食べる高順。
「それで、何を思いついたんですか?」
「何だ知りてぇのか張遼?しゃあねぇなぁ、その玉子焼きくれんなら教えてやんぜ♪」
「じゃあいいです」
「…いや、そこは普通聞くだろよ」
「うるさいぞ高順。聞いてやるからさっさと言え」
「さっすが社長♪
まだ寒いスけど、暦じゃもう春じゃねッスか?うちの桜も最近ちっせぇ蕾が出来てきたんで、そろそろ花見してみんのはどうかなって」
「…予想通りか」
呆れ顔でため息をはく呂布に、苦笑する張遼。
しかしそんな2人に対し、高順はニッと笑い
「今年の花見はちっと違いやスぜ」
自信満々に言うと、2人に見えるように持っていた書類をかざした。
―――――――――――
半月後
「今日は忙しい中、毎日頑張る俺らの為に社長が開いた宴会だ。
お前ぇら派手に楽しみやがれい!!」
『『おぉーーー!!』』
「有り難うございます社長!」
「遠慮なくいただきます!」
「あぁ。今日は好きにしろ」
高順の声を合図に始まった、中庭でのお花見。
皆仕事の疲れも忘れ、楽しげに飲み始めた。
「いやぁ、今日は皆楽しげスねぇ。考えて良かったッス」
「まぁ、今回の発案は良いものだったな。誉めてやる」
「有り難ございやす♪
そう言や張遼が居ねぇみてぇスけど…」
「あいつなら迎えだ。道が分からん筈だと言ってな」
「心配性だなぁ。ガキじゃねんだから1人で大丈夫だろに」
「早く会いたいんだろ…大事にしてるみたいだしな」
「社長もじゃねんで?去年より楽しげッスよ」
「…ほっとけ」
フッと笑う呂布に、嬉しそうに笑う高順。
(社長も喜んでんな。今度から飲み会もこれでいくか♪)
「…あ。張遼帰って来やしたぜ」
「む…ちゃんと会えたみたいだな」
ロビーの先に見える青い髪に、張遼が戻ったのを知る2人。
「只今戻りました」
笑顔で言う張遼の手には、重箱とコンビニのおつまみが多数入った袋が2つ。
そしてそのすぐ後ろから
「今日はお招き有り難うございます、お兄様」
同じようにコンビニの袋を持った貂蝉が続き、柔らかな笑顔で呂布達に頭を下げた。