夢想話
□癒しと安らぎ
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“わふわふわふ”
「あ、お仕事終わったんですね♪」
午後6時過ぎ。いつもの時間に鳴る犬の着声。
貂蝉は携帯を開き、夫からのメールに目を通したのだが…
〔急に接待が入って帰れそうにないι
すまんが飯先に食っててくれ〕
いつもと違う内容に、少しだけ寂しさと残念な思いが心に広がる。
「…仕方ないですよね。これも大事なお仕事ですし」
〔分かりました。あまり飲みすぎちゃダメですよ?頑張って下さいね^^〕
それでもそんな思いを悟らせぬよう、貂蝉はいつも通りニコニコの絵文字付きで返信した。
その数秒後
チャ〜ラ〜ラ ラ〜
チャラララ ラ〜…
突如緩やかなメロディを奏でだす携帯。
少し驚きながら、貂蝉は通話ボタンを押して耳を当てた。
「お仕事お疲れ様です。どうかしました?」
『いや……すまんな、急に』
「私なら気にしないで下さい。お風呂沸かして待ってますから…楽しんで来て下さいね」
『む……なるべく早く帰るな。風呂も先に入って良いぞ』
「分かりました。それじゃ…行ってらっしゃい奉先様」
『…大好きだぞ貂蝉』
「私もですよ//」
『知ってる♪又連絡するな』
嬉しそうな言葉を残し切られる電話。
「周りに人居なかったんですかね///」
ニッと無邪気に笑う呂布を想像し、貂蝉はクスリと笑みを溢した。
「終わりましたか呂布殿?もう少しで着きますぞ」
電話が終わったのを見計らい、助手席から後ろの呂布に声をかける張遼。
「良いッスねぇ嫁さんとの会話…俺も可愛い嫁さん欲しいなぁ」
「お前には無理だな」
「ひでぇッスねぇι」
サラリと言い放つ呂布に、高順は運転しながら苦笑した。
「…今日はさっさと片付けるぞ張遼。10時までに終わらせる」
「声を聞いて早く会いたくなったんですか?」
「なっ!?何故分かる」
「見れば誰でも分かりますよ。顔が嬉しそうに緩んでますからな」
「…そんなに出てるか?///」
「高順殿も呆れる程に」
「え、俺?」
「……シメるぞお前」
「いや今の張遼が言ってるだけッスから!んな事思って無いス!ι」
「ものの例えだから止めて下されι
そんな事したら貂蝉が怒りますぞ」
「貂蝉は優しいから怒らん。俺に惚れとるしな」
「暴力を嫌う優しい子ですからね。呂布殿が誰かを傷つけたりしたらきっと悲しがります」
「ぅ゛……それは困る」
「ならば高順殿をシメてはなりませんよ」
「…お前言い方が貂蝉に似とるな」
「まぁ兄妹ですからね。泣かせたら許しませんぞ」
「…シスコンめ(ボソッ)」
「何か言われました?」
「何でもない。着いたら声かけろ」
それだけ言うと呂布は腕を組み、窓の外を流れる光をぼんやりと見つめた。