夢想話
□愛しのメイド様
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ピンポ〜ン
「お届け物で〜す」
「はぁい。ご苦労様でした」
「有り難うございまーす」
バン!
ブォォォォン…
「あら?これお兄様から…私宛て?」
差出人と受取人の欄を見て首をかしげる貂蝉。
(何でわざわざ宅配で…)
思いながら丁寧に包装紙を外し、箱を開けてみると
綺麗な赤い布地が目に入った。
「…このお洋服」
広げ、瞳を輝かせながら服を見つめる貂蝉。
直ぐ様エプロンに入れていた携帯を取り出し、1番の短縮ダイヤルを押す。
(…あ、仕事中かも)
思い直し電話を切ろうとすると、画面に通話中の文字と秒数が表示され
『どうした貂蝉?』
聞こえる低い声。
「あ、今大丈夫ですか?」
『あぁ、構わんぞ。
何だ一人で寂しいのか?』
「違います//
今荷物が届いたからお礼を言いたくて…」
『そうか、早かったな。
もう着たのか?』
「まだ今からです」
『今度俺にも見せろよ?』
「気が向いたら見せます
有り難うお兄ちゃん…」
『っ……不意打ちは卑怯だぞ//』
「いつものお返しです♪
それじゃ、お仕事頑張って下さいね」
『む……
又泊まり行って…』
―呂布殿!いつまで電話してるんですか!?―
『うるさい!もう少しだ!!』
「…ちゃんとお仕事しなきゃダメですよお兄様。
いつでも遊びに来て良いですから」
『…約束だぞ。
陳宮がうるさいからもう行くが、いつでも電話して良いからな』
「次からはメールにします。早くお仕事に戻って下さい」
『俺はお前の声聞こえた方が…』
―呂布殿ぉ!!―
『分かっとるわ!!!
…じゃあな。愛してるぞ貂蝉♪』
プツ
プ〜ップ〜ッ…
「相変わらずですね//
………」
カコカコカコ…
少し考え、携帯を操りだす貂蝉。
「全く、時間の無い時に何をしておいでか?」
「大事な電話だったんだ。まだ跳ばせば時間に間に合うだろが」
「まぁまぁ。今日は道空いてるッスから心配無ぇスよ」
そんな会話をしながら目的地へ走る車。
ニャ〜 ニャ〜
「はい?何故猫の声が…」
「俺のメールだ」
((メールかよι))
カコカコ…
「………む///」
「…貂蝉殿からですか?」
「何故分かる!?」
「顔見れば判りますよι」
「仕事頑張れってメールッスか?」
「…まぁそんなもんだ。
これ終わったらすぐ会社に戻れ。やる事が出来た」
「分かりました」
指示を出してからも嬉しそうに携帯を見る呂布。
そこには
『私も愛してますよ^^
お仕事頑張って下さい、お兄ちゃん』
何とも嬉しい文字が、可愛らしい顔やハートの絵文字付きで表示されていた。
(今日の呂布殿は随分機嫌が良かったですなぁ…)
夕方の道を歩き、家を目指す張遼。
(まぁ…おかげでこのケーキ買えましたし。後で貂蝉殿とゆっくり食べますかね♪)
妻の喜ぶ顔を思い浮かべながら玄関のチャイムを鳴らした。
ガチャ
「お、お帰りなさいませ…ご主人様///」
「………ちょう…せん殿?ι//」
扉を開けて出迎えた妻に思わず目が点になる。
そこには可愛らしいメイド服を着た最愛の妻が、少し恥ずかしそうに笑って立っていた。