夢想話

□傍にある光
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『張遼様……



もう…お別れです』






…何故、ですか?





私が…


何か気に触る事をしてしまったから…?






『さようなら…』






待って…


待って下さい…





『…お元気で』






お願いだ





行かないで





行かないで下さい…








愛しているんです……











……貂蝉殿…















「っ……


また…か……」



暗い闇の中
私は目を覚ます。




いつの頃からか、毎晩見るようになった夢…



とても悲しく…恐ろしい……





愛しい人が…
私を捨てて行ってしまう夢……




「……何故…今…」



酷く掠れた声


頬を伝う雫が…


自分が泣いているのだと気付かせる。








「……ん…」



不意に聞こえる声に身が硬くなる。



起こしてしまったかと伺い見れば



安らかな寝息をたてて、静かに眠る姿。







私の愛しい人……




「……よく眠っておられる…」



そっと、髪に触れると
柔らかな毛先が手に心地よくて…





何だか…安心する……。









「……ちょうりょ……さま……?」



不意に聞こえた声に、心臓が激しく暴れだす。





「…すみません……起こしてしまいましたか?」


「いいえ…
それより…どうかしたんですか?」


そう言って、私の手に小さな手を重ねられ


泣いていたのがバレてないかと、不安がよぎる。





「………何でもありませんよ」


それでも何とか平静を装い、いつものように笑顔でごまかした。








けれど




「…………少しだけ……
抱きしめさせてもらって良いでしょうか?」




己の心は誤魔化せず





不安に負けて
貴女のぬくもりを求めてしまう。






「…そういう事は、聞かずにしてほしいです//」


そう、頬を赤らめ小さく言う貂蝉殿。







その小さな身体を抱きしめて


しなやかな髪にそっと顔を埋めた。








大好きな、貴女の匂いと暖かさ…





そして

そっと私の背に回し、遠慮がちに抱きしめてくれる手に


心にあった不安が消え去り









私は
二度目の眠りについた……




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