裏へ参る
□止まらぬ愛を貴女に
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空に浮かぶ丸い月。
その下で賑やかに騒ぐ男達…もとい、一人の声が楽しげに響いていた。
「今日も強かったッスね俺ら!!連戦連勝で飲んだくれになっちまいまさぁ♪」
「もう酔っとるのかお前。うっとうしいからあっち行け」
「ひでぇッスよ殿ぉι
俺今日頑張って嬢ちゃん守ったんスよ?誉めて下せぇ♪」
「うるさい奴だ。おい張遼、何とかしろ」
「一言誉めてあげれば良いじゃないですか。今日の高順殿本当に頑張ってたんですし」
「面倒くさい」
「冷てぇッスねぇ…んじゃ殿が誉めてくんねぇなら嬢ちゃんに誉めてもらいやス♪」
「え?私が…ですか?」
「おう!カッコイイ高順様大好きとか、殿に言うみたく惚れ惚れしましたとか♪」
ゴスッ!!!
「ぅいって!!痛ぇッスよいきなりι」
「貴様が頭に乗るからだろが!!貂蝉にたかるな!!」
「じゃあ殿誉めて下せぇ。お前のおかげで今日は助かったとか、流石俺の部下だ!って」
「…今日は良くやった。一応誉めてやる」
「有り難ございやス♪
じゃ次嬢ちゃんから…」
「もう一撃喰らいたいのか貴様」
「冗談すよ冗〜談。
今日は嬢ちゃんもよく頑張ったな」
くしゃくしゃ頭を撫でられ、少し恥ずかしそうに微笑む貂蝉に
「嬢ちゃん可愛い!!」
「きゃっ!?////」
ガゴン!!!!
思わず抱きついた高順へ、呂布の拳が振り降ろされたのだった。
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「ったくあのお調子者め…」
「まぁまぁ呂布殿。高順殿も酔ってたようですし、今日は多目に見てあげて下され」
「貂蝉に手を出すのは許さん。せっかく酌してくれてたというのに…」
「手当てが終わったらすぐ来てくれるそうですよ。それまで私が付き合いますから、機嫌直して下され」
「…仕方ない。お前で我慢しといてやる」
フンと鼻を鳴らし廊下を歩く呂布と、苦笑しながら後に続く張遼。
持てるだけ酒瓶を持ち、二人は呂布の部屋へと向かっていた。
呂布の体格に合った、広い部屋に大きな寝台。
その脇に持って来た酒瓶を置いて腰掛けると
「貂蝉が来るまで酌しろよ」
「分かっております」
二人は一本目の酒を飲み始めた。
それからしばらくして
「すいません、遅くなりました」
「お!待ってたぞ貂蝉。
早く酌してくれ♪」
「遅いから心配してましたよ。どうぞこちらへ」
「俺の膝乗って良いぞ♪」
「もう酔ってるんですか?飲みすぎはダメですよ奉先様」
「張遼が飲めとうるさくてな。仕方なく飲んでやったのだ」
「嘘はいけませんぞ呂布殿ι」
「ちゃんと分かってますよ。お礼に張遼様のお酌は私がしますね」
「張遼だけずるいぞ。俺にもしてくれ貂蝉」
「でも奉先様さっき嘘つきましたし…」
「…酌してくれんと腰撫でるぞ」
「なっ!!///」
「?腰を撫でるって…」
「な何でもないんです張遼様ι 気にしないで下さい」
「貂蝉お酌♪」
「…奉先様にはかないませんねι」
部屋にやって来た貂蝉を入れ、三人は改めて盃を傾けた。
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