「ロックオン、ロックオン。」
ロックオンが、その声と呼ばれなくもない音に気付き、体の向きを変えた。
「お、どうした?ハロ。」
ロックオンが自分の体に突進してきたオレンジの球体、いや、相棒を受け止め問掛けた。そのとき、手に持っていた本をドサリと落としてしまうが、ロックオンはそのことを咎めもせず、ハロに屈託のない笑みを見せる。
そんなロックオンを見てか、ハロは目をチカチカと光らせ、音を発する。
「ウレシソウ、ウレシソウ。」
その言葉に思わずロックオンの頬が緩んだ。
どうやら、ハロには隠し事は出来ないらしい。
「あぁ、ちょっと欲しかった本が手に入ったんだ。」
笑顔を見せながらそういうと、ロックオンはハロを床に置き、先程落としてしまった本を見せる。
「シャシン、シャシン。」
それは1つの写真集だった。どうやら世界中の絶景が載せられているらしい。
その表紙は日本の富士山が赤い夕焼けに染められている写真である。
「綺麗な写真が載ってるからずっと欲しかったんだけどな……今じゃもう生産されてない絶版物らしいぜ。」
ロックオンが寂しそうに言うが本を開くとすぐにその表情は柔らかく、明るいものに変化した。
「今は戦争が続いてるけど、絶対に根絶させる。」
ロックオンは1つの写真を愛しそうに見つめる。
「絶対にこの景色をとりもどそうな。ハロ。」
ハロはそんなロックオンを見て再び目をチカチカと光らせる。
「サヨナラ、サヨナラ。」
ロックオンは突然ハロに言われて、目を丸くする。
しかし、すぐに笑顔を見せハロをポンと叩く。
「あぁ、もう哀しい世界とはさよならだ。」
ロックオンは写真集を閉じ、相棒を抱える。
そして、また戦争根絶の為の戦いへと向かっていった。
fin
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