おおふり

□二重人格
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―回想終了―

「そんな事が三橋達にあったんだ。」

「でも、今回はそれと少し違うだろう?」

〔まぁ。でも廉の意識を呼び出さないと…〕

「でも、どうやって?」

〔沖。それはみんなの協力が必要なんだ。〕

『俺ら?』

〔そう。俺だと今回はダメなんだよ。廉を頼む。〕

廉夜はみんなをしっかりみつめていた。

『もちろん』

〔ありがとう〕

廉夜はその言葉を聞いて少し安心した表情をした。
「廉夜くん。具体的に俺らはどうすればいいの?」

〔西広だったらどうすれば廉はでてくると思う?〕

「え。俺らの声を届けるとか?」

〔まぁ、そうだがただこの状態で廉にみんなの声が届くか?〕

「難しいね。」

「あの、二人ともわかりやすく説明して?」

「三橋は今のままみんなの声をただ届けても受け入れない。」

『なるほど』

「ゲンミツにどういう意味だ?」

〔田島。ただ廉に戻っておいでとかを話しかけても今の状態だとダメって言うのを説明してたんだ。〕

「そういう事か。じゃあゲンミツに手を握ろぜ!」

『え?』

〔なるほど…。そっちの方が伝わりそうだな。〕

「2人ずつ三橋の手を握ってやろうぜ。」

「そうだな。」

「順番は?」

〔やりたい順番でいいんじゃないか?〕

「じゃあ、花井と栄口でやれば?」

『そうだな/ね。』

〔じゃあやろうか。〕


『おう。』

〔2人とも声に出さなくてもいいぞ。〕

『え?』

〔別に声に出してもいいが手の温度で気持ちが伝わるはずだから廉に語りかけるように気持ちをこめて握ってくれればいい。〕

『了解』

(三橋、お前は野球が大好きなんだろう?また俺らと野球をしようぜ。)

(三橋、今はみんながいるんだよ。自分の気持ちを押し込めなくていいんだからね?)

〔(手が暖かい。廉、聴こえてるか?花井と栄口がよんでるよ。)〕

しかし反応はない。

「とりあえずみんなの気持ちを三橋に伝えれば大丈夫だよ。」

「水谷」

その時の水谷はいつもと同じような言い方なのにみんなを安心させていた。

「次は阿部と沖でやってみなよ。」

『ああ/うん。』

〔2人とも大丈夫。そんなに緊張しないでも。〕

「あ、ごめん。ちょっと不安で」

「俺も、どうしていいかわからなくて…」

((阿部のあんな切なそうな表情は初めてみた。))

〔大丈夫。沖も阿部も廉の事を思ってくれればいいんだ(笑)〕

『ありがとな/ね。』

〔始めるぞ。〕

(三橋、また後ろで守らせてくれ。それで一緒にたくさん話そうよ。)

(三橋、普段は怒鳴ってばっかりだけどお前が俺のなかの投手に対する考えをかえてくれたんだ。だからもっとお前の良いところが知りたい。)

〔(沖も阿部も少し野球に関してるな。)廉…〕
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