おおふり

□二重人格
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―回想―

「お前に1番はふさわしくない。それを叶に渡せすんだ。」

「これで三橋と野球をしなくてすむ。」

俺はダメで嫌な奴なんだ。

そう思った時に誰かが俺を呼んだ。

〔廉。そんな事はない。〕

「誰?」

〔お前の中に居るお前〕

「俺?」


〔そう。正確に言うともう1人にお前だ。〕

「俺…」

〔俺は廉の心からできたんだ。原因はわからないけどな。〕

「そうなの?」

〔だから、廉はダメな奴でも嫌な奴でもない。だって俺は廉が居なかったら俺は居ないんだ。〕

「そっか。名前は?」

〔廉夜〕

「廉夜くん。」

〔くんはいらない。廉〕

「うん(笑)」


廉はただ自分を責める。

その言葉をそのまま受け入れるから。

だけど俺も一度だけ…


「廉夜は表に出てきたいって思ってる?」

〔なくはないが別に出なくても不便ではないな。〕

「そう。」

〔まさか!〕

「これで廉夜は外に出れるでしょう?」

〔バカ!そんな事をしなくていいんだ。〕


「なんで?廉夜が表に出れるんだよ?」

〔気持ちは嬉しいが必要ない。〕

その時に表情は切なそうにしていた。

「俺が廉夜をそういう風にしてるの?」

〔まぁ、〕

そう言葉を濁した…

「ッ(涙)」

〔…〕

その時は俺もイライラしていたから何も言わなかったんだ。

でもそれが廉を苦しめるとは思ってなかった。


季節は春休みだったから俺らは今の西浦にいた。

だから廉が恐がる三星の奴らは居ない。

だけど廉の表情は無表情に近かった。

もちろん親の前だとかわるけど1人になるとそうなってしまう。


〔廉?〕

「…。」

〔どうしたんだ?あの時から様子がおかしいぞ?〕

「何でもないよ。」

〔そんな表情を何もないわけないだろう?〕

「う、うるさいな。廉夜はほっといてよ。もうどうでもいいんだ。」

〔うるさい?どうしてどうでもいいんだって言うんだよ?〕

「廉夜が…」

〔俺が?〕

「表に出たいっていった時に嫌な表情したから俺の事を嫌いになったのかなって思ったの…」

〔(そういう事か…)あれは違うんだ。〕

「何が違うの?」

〔気持ちは嬉しかったが俺は廉の中にいたいからあの時、断ったんだ。〕

「そうだったの?俺があの時に廉夜の事を苦しめてたわけじゃなかったの?」

〔苦しめられた記憶はないぞ。〕

「良かった。」

〔俺は廉に嫌われたかと思ったよ。〕

「それはないよ。俺は廉夜を嫌いにはならない。」

〔ありがとう。廉(笑)〕
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