日和

□聖人は聖人を知る
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さて、埋まっていた男が抜けました。
「お〜い、大丈夫?」
「あんま大丈夫くない」
「確かに顔色もすぐれないようですし…あなたお名前は?どちらからいらしたんですか?」
男は何か言おうとしましたが、それを遮って

きゅるるるるる

「…あ」
お腹を押さえて真っ赤になる男。
「お腹空いてる?」
男は頷く。太子は
「ほりゃっ、これでも食べんしゃい」

差し出されたおにぎりを男は驚いたように見て、次に太子の顔を見上げます。
「そんなにびっしりしなくとも」
「びっくりだろ!解りにくいですよボケ方が!」
「妹子用のツナはちゃんととってあるから!」
「うるせぇ!」
「い、いただきます!」

男はおにぎりを食べはじめます。
太子はニコニコとそれを眺めていました。
「そんなにお腹空いてたの?そんなに冷たくなってたら寒いでしょ。摂政☆スペシャルウールジャージを着るでおま!」
「うわ、そんな臭いモン貸すな!というか薄着すぎます太子、あんたが風邪ひきますって!」
「摂政ナメんな!ほりゃっぱぁぁあ!」
ぎょっとしてる男にジャージの上着を掛けてやります。
「あ、ぬくい」
「もう、太子!そんな格好じゃ…もう帰りますよ!」
「寒い!寒いよ妹子!蒸されろ、お前今すぐ蒸されろ!」
「誰がふかしイモだ!あなたも元気になったら暖かい所探してくださいね!」

こうして太子は行き倒れの男にご飯と着物を与えて片岡を後にしました。
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