日和

□王子様は夢の中
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「太子〜太子〜?」
今朝、太子が犬を拾って来た。太子じゃ世話しきれないだろうと思ってつい怒鳴ってしまった。
僕も犬は結構好きだ。
飼えるもんなら飼いたいけど、飼えないなら飼おうとする方が犬に申し訳ない。

でも…ちょっと今日は太子に言い過ぎたかもしれない。
本気で泣いてしまった太子。まるでコドモみたいに。オッサンの癖に。
飛び出してしまった太子を僕は今探している。

「それでね…」
遠くで声がする。
見紛う事なき青ジャージ。

駆け寄ろうとして、僕はやめた。
「竹中さん、あのね…」
池のほとりで何やら楽しそうに太子はしゃべりまくっている。
後ろから見ていても大袈裟な身振り手振りから表情はわかる。

太子は今、満面の笑みだ。
相手が竹中さんならしょうがないかな。と思った。


なのに、何で

何で僕は痛いほど下唇を噛んだんだろう。




痛いほど拳を握ったんだろう。





あぁ、痛い。


痛い痛い痛い





気が付いたら僕は背後から太子を抱きすくめていた。
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