日和
□賽の川原
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ちいさなこどもがいる
ぼくをみて、笑う
僕は、めをとじて
かんじょうをころして
不思議そうに首を傾げる子どもの前にある積み石を蹴り崩した
賽の川原
不幸な事ですね。
それはとても不幸な事ですね。
儚く崩れた石に、子どもの大きな目から笑みが消える。
はじめに驚愕、悲しみ、そして諦め
だんだん、そうやって子どもは孤独に染められて感情を失っていく。
さっきの子どもに噛み付かれた右足が痛い。
その子どもを殴り付けた右手が痛い。
泣き崩れた声を聞いた耳が痛い。
不幸な事ですね。それはとても。
親より先に逝くなんて。