日和

□【1000hit&相互記念】ヤキイモ
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「いもいもおいも、けついもこ〜」
「おかしな歌を歌わないでください刺しますよ」
焚き火の中を突っついていた枝をこちらに向けられて私は慌てて身をかわす。
なんて危ないヤツ!
先っぽにメラメラ燃える葉っぱまでくっつけて私に向けるなんて流石私が遣隋使に選んだ男!やるせねぇー!

「全く、何で僕がこんなこと…」
「それは私がお芋を食べたいからだ!」
ブツブツ言いながら再び火に向かう。
少しだけ日に焼けた精悍な顔が火に照らされて赤い。
ただ、耳が赤いのはやっぱり寒いから。


耳あて?
ふっふ〜、妹子お気に入りの耳あては私の耳に現在ジャストフィット中なのさ!

うばっちゃった〜♪ってヤツ。


最初はぶーたれていた妹子も火をつついているうちに暑くなったのかマフラーまで外してしまった。
ちなみに私は外したマフラーをこっそり拝借して首に巻いているが妹子は気付かない。
気付いたらきっと臭くなるだの何だの酷い事いっぱい言われんだろな。
でも、私それをちょっと期待してる。
だって酷い事言っても「寒い」って言えば絶対妹子は私からマフラーを奪い返さないだろうから。
奪い返すふりは絶対するけど。意地っ張りだから。

「何笑ってんですか気持ち悪い」
背中向けたまま妹子が言う。
「誰が気持ち悪いんだコンチクショー!」
殴ろうとしたらまた枝。
何それお気に入り!?
二度もかわすなんて私相当猛者かもしれない。
「ねえ、お芋まだ?」
「まだですよ」
火の中でアルミホイルがチラチラ光っている。
「今日のお芋何色?」
「は?ヤキイモといえば黄色でしょう?」
「やったね!黄色いお芋だ!」
「普通のサツマイモじゃないですか」
「サツマイモといえば紫だろ!でも黄色の方が美味しい!」
「……何でそんな入手しにくい方ばかり…」
「皇子様だもん」
「ウゼェ」

妹子が芋を転がす。
そういえば妹子が芋を食べたら共食いにならないだろうか。
因果応報、いつかは妹子がお芋に食べられちゃうんじゃないかしら。
そうなったらどうしよう。私がそのお芋を焼いて食べちゃう。仇は討ったぜ妹子。感謝しろ。

「焼けましたよ太子…って涎、よだれー!」
「あ、ごめん妹子の事考えてた」
「僕を食う気か!」
「間接的に」
「滅べ!」
さっきから武器にしてた枝はアルミホイルに包まれた芋がぶっ刺さってて武器にならない。やーいやーい!
ニヤニヤしてたら普通に拳が飛んできた。痛かった。
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