日和

□幸せの花束 Ver.good day
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隋から帰ってきて、どれくらい経っただろう。

赤いジャージの五位は、いない。

最初は、そりゃあ腹立ったよ。

ただ、ね…


「どうしたんだい、太子」

竹中さんのお家。
私は竹中さんのお家にしょっちゅう来ている。

でも、最近はちゃんと仕事もしてる。
自分で言うのもなんだけど、珍しく。

「あのね、最初はいやぁなヤツだなって思ってたんだよ。でもさ、なんだかんだで助けてくれるし、力持ちだし、それに…何だっけ」
「何だっけ?」
「そうだ、身体全体が尻で『もっともめ』って…」
「ふぅん…?太子、それって墨レンジャーの…えっと小野…おの、の…」
「イナフ」
「そうそう小野イナフ」

…イナフだっけ?
なんかこう、名前は菌類のような…
もっとこう、サラダみたいにしてくださいイモ!みたいな…

ま、いっか


「で、彼がどうかしたの?」
「したの。いなくなっちゃった」
「いなくなっちゃった?イナフが?」
ぴろぴろ冠を伸ばしながら頷くと

「寂しいの?」

うっかり頷きかけて慌てて首を横に振る。

「ちちち違うんだってば!このイケメン☆摂政に借りを作ったままいなくなっちゃうなんて不届きなジャガ芋だから、怒ってんだぜ!」

そうだ。私寂しくない。
ただきっと怒ってんだ。

「ちくしょー、あのおジャガめ〜!」
「何処へ、行っちゃったんだろうね」

竹中さんがぽつりと呟いた。
握っていた拳はそのままに竹中さんを見やる。
竹中さんも私の方を見る。

「……………私、知ってる」
「あ、そうなんだ。だったら会いに行けば良いよ太子」
知ってるの。
私、妹子が何処にいるか。
…あ、そうだ妹子だ妹子。

って違うちがう。

「会いになんて行けないよっ!」

あ、妙におっきい声出ちゃった。竹中さんがびっくりしてる。

「私、これでも摂政だよ?」



だから、行けないの。



流罪になった罪人のトコなんて
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