五月の分解
太陽の光が照らす白くフェルターをかけた視界は、懐かしい、感情の漏れた潤んだ世界を思い出させた
耳に響く真っ直ぐなファンファーレ
胸に棘をもがれた紅い花が凛として咲いて、少し目映くチカチカするほど。
そう、この日は予想できていた。あの黒いスーツを着こなす赤ん坊が来てから俺の人生は、巴を描きこの地へ引きずりこまれたのだ
世界はこの階段を上った先に待っている
そして全ては息吹を放つ
始まりの生贄に、俺は俺を殺すこととなるだろう
世間知らずで、愚弄者、泣くことを止めなかった幸せな俺。神様に全てを願った哀れな俺。
彼のためのレクイエムが心の中に鳴り響く
壊れたジュークボックスが悲鳴をあげる
逸る鼓動が全身に突き刺さる
彼は、彼を。俺は、彼を。俺は、俺を…
その瞬間、俺は偶像崇拝を捨て
全ての真理を自らに委ねた
銃を持て!赤い世界に打ち勝つ為に!
end