ごくでらくん 2
やばい、やばいやばい
綱吉は本当にヤバイと思っていた。ソレはもうものすごくヤバイと思っていた。
なぜヤバイかと言うとソレは半日ほど前にさかのぼる。
朝と昼の間あたり。つまり二時間目の休み時間、綱吉は山本にグチったのである。やばい元凶について。
山本は机を彫っていて、綱吉の愚痴はサラサラとすっぽ抜けて適当に返事していたことは分かっていたが、聞いてもらうだけで気が楽なのであった。おばさんたちの会話テクの一つがこの二人の無意識なやり取りである。
それだけでは全くヤバくないのだが、その次に聞こえた声がもう、ヤバイのどん底に突き落とす呪文である。
その呪文を唱えたのは担任の先生、なんとも予測出来かねたところから沸いたもんであるから、最初は反応に出せないまま
「ごくでら、そんなとこでなにしてんだ」
ごくでら。
「やばいやばいやばい」
「だーいじょうぶだって、ツナー!」
軽い軽い山本は自転車、山本号(運転手山本、荷物ツナ)のベルをチリンチリン鳴らせて3・3・7拍子を披露している。エンドレスで。
なんだかムカッときたので背中を思いっきりツネッてやった。
「あだだ、」
「大丈夫じゃないんだよ!!!大問題なんだよ!!!明日が来るのが恐ろしい!!!」
ひぃぃぃっとなっているツナにチラッと振り向いて山本はまた笑った。なにがそんなに彼をこんな能天気にしているのか綱吉には分からなかったがムカッときたので、うなじを思いっきりツネッてやった。
「あーだっつ!イテーってハハハ」
「あほ!笑うな!」
もうなんだか綱吉は泣きたくなった。
顔で笑って背中で泣いて、もうなにがなんだかと思いたかったが、獄寺の気を悪くしたことは剥ごうとしても剥がれない事実としてしっかりと綱吉の脳に食い込んでいくのであった。
獄→ツナ中に山→ツナ
ツナに全く自覚はないよ。