astray


とある日曜日
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「・・・本当はアオだった・・・役所がまちがえた・・・俺は黄助がよかったんだけどね・・・サクラが駄目って言った・・・」

「黄助って・・・」

外人の碧に、あまりにも似付かわしくない名前。

「それって、頭が黄色いから?じゃあ、アオにしようとしたのも、目ぇ青いから?」

「・・・うん・・・」

小さな子供が、飼い犬に名前をつけるのと同じな気がして爆笑する力也を、奏は不思議そうに見ている。

 「そろそろミドリ起こしましょっか?」

ひとしきり笑って時計を見ると、7時が近い。
 冬休みだからといって、寝坊癖をつけてはいけない。

「ミドリ!いい加減起きろや!」

大声で呼び掛けても、まだ全然起きだしそうにもない碧。
 布団を捲ってみる。

「うわっ。しがみついてやがる・・・」

起きているのでは?と思われる程しっかりと、布団に絡み付く。

「テメェ、起きてんだろ!?」

バサバサと布団を揺らしても、碧も一緒に揺れるだけ。
 あまりのしぶとさに、力也は乱暴に布団を引き剥がそうとする。

「むぅーっ まだねるぅぅ〜!!」

意地になって、碧も抵抗する。

「何時間寝る気だ!?
しまいにゃ殴るぞ!?」

「ふみゃーっ リキ兄のばかぁっ!!」

「どっちがバカだ!?このバカ!!」

子供2人の意地の張り合いに、奏は大きなため息を吐いた。

「・・・カレー、作ったのに・・・」

「えっ!?カレー!?」

鶴の一声。というか、奏の一声。
パッと布団を離して、奏に抱き付く。
 急に引っ張る力が無くなって、力也はヨロけた。

「おまっ なんだよ、その変わり身の早さは!!」

「何いってんの!?カナちゃんのカレーだよ!?
こんなことしてるバアイとちがうよ!!」

興奮ぎみの碧は、もうカレーのことで頭がいっぱいだ。

「つか、朝からカレーって・・・ま、別にいいけど。」

カレーのどこが悪い!?と言い出しかねないので、意見するのはやめておく。

「リキ兄!!おいてっちゃうよ!?」

余程待ちきれないのか、いつもは奏に抱き抱えられて移動する碧が、足踏みをして力也と奏を急かす。

「へいへい。んな急がなくっても、カレーはなくならねぇよ。」

「はやくっ!はやくっ!!」

青い目をキラキラさせて、黄色い頭がピョンピョン飛び跳ねるのを眺めながら、力也は、また日曜日を潰されんだろうな、と思い苦笑した。
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