phantom
□2、he is born again
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「え・・・?」
何を言い出すんだこのオヤジ、という顔で俺を見る。
ホント、何言ってんだろ、俺。 見ず知らずの、赤の他人に喋ることじゃないだろうが。
「・・・なんでもない。邪魔したな。」
早々に立ち去った方が良さそうだ。
何か言いたそうな少年を無視して、歩き出す。
「あ、花・・・」
ふと、行きに買った花束が、手に残っていることに気付く。
せめて、置いて帰りたい。 そう思って振り返ると、さっきまでそこに立っていた少年が、少し移動した位置で倒れている。
「あーあ。」
倒れるなら、俺が立ち去った後にしてくれ。
雨に打たれる少年を放置しておいても心は痛まないが、目の前で倒れられたら、流石の俺も、放ってはおけないじゃないか。
「おい、生きてるか?」
駆け寄って声をかけても、起き上がる気配は無い。
カバンから携帯を取り出して、救急車を呼ぶ。
人生で二度目の救急車。
しかも、同じ場所。
俺は、複雑な気持ちになって、和也に良く似た少年を、直視することができなかった。